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【森と音楽のひろば】idobata音楽会 子どものための公開リハーサル~はじめてのクラシック音楽~

2023年7月22日(日)、森と音楽のひろば「idobata音楽会 子どものための公開リハーサル」を開催しました。

idobata音楽会は、ヴァイオリン・ピアノデュオの「かや×めぐみ」が、旧・飯能織物協同組合事務所の蔵にて2カ月に1度開催しているまちかどコンサートです。
本格的なクラシックを気軽に楽しんでもらえることをコンセプトとしていますが、どうしても大人向けの内容になってしまうため、クラシックに対するハードルをさらに下げ、子どもも大人も隔てなく、本格的な演奏を体験してほしい…そんな思いから、この「子どものための公開リハーサル」が企画されました。

通常のidobata音楽会と違うのは、会場がおやこのキャンパス(飯能市林業センター)であることと、切り株や無垢材の椅子など、自由な場所に座って、リラックスした雰囲気で演奏を聴けることです。さらに、お子さんでも楽しく聴いてもらえるよう、合間にお子さん向けのトークを挟んだり、曲の数や順番を調整したりしています。
とはいえ、演奏会直前のリハーサルを兼ねるため、お2人のコンディションが最も良い状態。本番さながらの迫力ある演奏を楽しむことができます。

当日は、6組17人の親子が来場してくれました。

はじめてのクラシックコンサートへようこそ!

今回のテーマは、「イタリアと地中海」です。
曲目リストはこちら!

1)ストラヴィンスキー:イタリア組曲より第1曲
2)サラサーテ:アンダルシアのロマンス
3)マスネ:タイスの瞑想曲
4)リスト:タランテッラ(ピアノソロ)
5)マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲
6)パガニーニ:ラ・カンパネッラ

1)ストラヴィンスキー:イタリア組曲より第1曲

演奏会の幕開けは、ロシアバレエ音楽の大家・ストラヴィンスキーがバレエ音楽「プルチネルラ」を室内楽用に編曲した「イタリア組曲」。
2分ほどの短い序奏で、ヴァイオリンとピアノの軽やかな掛け合いが楽しい、幕開けを告げるにふさわしい1曲です。

弾き終わって、まずは奏者よりごあいさつ。

【かや×めぐみ】 中ノ森めぐみさん(左)、桑原香矢さん(右)

最初に「森と音楽のひろば」についての紹介がありました。
「森と音楽のひろば」は今年度(2023年度)から始まったおやこのキャンパスの新しい木育教室です。

ヴァイオリンもピアノも、木から作られています。そして、会場の飯能市林業センターは西川材をふんだんに使って建てられたぜいたくな木の空間。木の香りに囲まれながら、木の楽器が奏でる音色を楽しむことで、「自然(木)が、人間の知恵によって芸術(楽器)に生まれ変わる」瞬間を感じてもらうことを目標にしています。

6月に飯能市林業センターに設置されたグランドピアノ

次に、本日のテーマ「イタリアと地中海」について。
イタリアは、古代においてはローマ美術、中世にあっては現在の西洋美術の原点ともされるルネサンス美術を生んだ、“芸術の聖地”です。

ヴァイオリンもピアノも、イタリアで完成されたものだってご存じですか? 楽器たちの故郷と美しい地中海の風景に思いを馳せると、また違った景色が見えてきそうです。
ちなみにピアノのめぐみ先生は、イタリアに7年間住んでいらしたそうです。

それでは早速2曲目、行ってみましょう!

ヴァイオリンもピアノも、イタリアが故郷です

2)サラサーテ:アンダルシアのロマンス

アンダルシア地方はスペイン南部に位置し、地中海に臨む切り立った斜面に白壁の家々が立ち並ぶ「白い村」は観光客にも人気です。夏の南スペインとても暑く、地中海沿いの地域は湿度も高いため、日本のようなジメッとした気候をしています。

そんな土地柄で、民謡をテーマに作られたのが「アンダルシアのロマンス」。ヴァイオリンの陽気でのびやかなメロディが、一気に夏の地中海へといざなってくれます。

3)マスネ:タイスの瞑想曲

イタリアと地中海を挟んで反対側には、エジプトがあります。
エジプトを舞台にしたオペラの曲は、ヴァイオリンとピアノの室内楽用に編曲されたものが多く、演奏会でも人気です。「タイスの瞑想曲」もそんなオペラ曲の一つ。冒頭から流れるヴァイオリンの旋律は、みなさんも一度は聞いたことがあるかもしれません。

ここで、かや先生から子どもたちに質問してみました。
「エジプトって知ってる? エジプトと聞いて、何を思い浮かべる?」

すると、「スフィンクス!」「ピラミッド!」と答えてくれたお子さんがいらっしゃいました。
さすが、物知りですね!

4)リスト:タランテッラ(ピアノソロ)

4曲目は、めぐみ先生のピアノソロ演奏で、リストの「タランテッラ」です。

曲名の由来は、なんと毒蜘蛛の「タランチュラ」。イタリア・ナポリ地方で、タランチュラに噛まれたときの毒を抜くため(と信じられていた)踊りをモチーフにした楽曲なんだそうです。
会場には昆虫に詳しい男の子がいて、タランチュラがどんな虫なのかも説明してくれました!(ありがとう!)

冒頭からタランチュラの足の動きを連想させる指使い、おどろおどろしい音階と次々変わるメロディ、そして息をつかせぬ高速演奏に、思わず目を奪われてしまいました。

めぐみ先生の見事な指づかい、みんな目が釘付けです

5)マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲

5曲目は再び2人で演奏です。

イタリアといえばオペラ。オペラといえば、独唱のアリアや合唱と管弦楽演奏を組み合わせた舞台劇…ですが、そんな歌中心のオペラの中で、劇や歌をいったんお休みして、オーケストラだけが演奏する部分を「間奏曲」といいます。

オペラのストーリーは男女の恋愛にまつわるものが多く、しかもドロドロ系やメロドラマで、この「カヴァレリア・ルスティカーナ」も三角関係&殺人事件が繰り広げられたりとお子様にはちょっと聞かせられない(!?)お話なのですが、「間奏曲」はとても爽やかで、清涼剤のような雰囲気があります。

6)パガニーニ:ラ・カンパネッラ

最後の曲は、19世紀前半のヴァイオリンの名手・パガニーニが作った曲で、これも冒頭の旋律は聞いたことがある人も多いかもしれません。

パガニーニという人は、大男でとっても手が大きく、そしてものすごくヴァイオリンが上手だったそうです。あまりにうますぎて、人間離れした早弾きを披露する彼に、当時の人たちの間では「悪魔と取り引きをしたに違いない」と噂されるほどでした。
「カンパネッラ」は「鐘」を意味し、ヴァイオリンの弦の端から端へと瞬間移動するような高速の指づかいと同時に、繊細な音色も求められるとても難しい曲です。

「あせあせ弾いているところをお見せしてしまいました…」とかや先生はおっしゃっていましたが、そんなことはない、とっても素敵な演奏でした!

【アンコール】パガニーニ:カンタービレ

コンサートでは、すべての曲が終わると、観客は「今日の演奏は素晴らしかった!」という気持ちを大きな拍手で表します。
もし、「もう一曲、聴きたいな…」と思ったら、その手を叩き続けます。すると、奏者はそのリクエストに応えてもう一曲、弾いてくれます。
これが「アンコール」です。

今日のアンコール曲は、パガニーニの「カンタービレ」。
パガニーニの曲も難しいものが多いことで知られていますが、この曲は優しく流れるような旋律で、まるで歌っているかのような曲調です。「カンタービレ」には「歌うように」「なめらかに」という意味があり、まさしく歌詞のない「歌」そのものでした。会場のみなさんの名残惜しい気持ちも、一緒に乗せているように感じられました。

子どもたちは、最後までとても真剣に2人の演奏に耳を傾けてくれました。
ふだん聞きなれない音楽で難しいところもあったかもしれませんが、今回の経験で、クラシック音楽に少しでも興味を持ってくれたら嬉しいなと思います。また、付き添いの保護者のみなさんからも「リラックスしたムードの中で聞くことができてよかった」とのお声をいただきました。

終了後、楽器に興味津々の子どもたちは、グランドピアノにさわって音を出していました。

次の「子どものための公開リハーサル」と「idobata音楽会」は、9月23日(土)&24日(日)の開催です。
ご家族みんなで、またぜひ聞きに来てね。


【森と音楽のひろば】
idobata音楽会 子どものための公開リハーサル
~はじめてのクラシック音楽・秋~

  • 日時:2023年09月23日(土) 14:00~15:00

  • 教室:おやこのキャンパス(飯能市林業センター)

  • 対象:先着10組。4歳以上の子どもと保護者(未就学児の入場可。お子様のみの参加はできません)

  • 費用:1人につき500円

  • 詳細:https://hanno-univ.net/classes/20230808_3387.html

\次回の「子どものための公開リハーサル」は9月開催♪/

idobata音楽会vol.8 クライスラーと仲間たち

  • 日時:2023年9月24日(日)
      【午前の部】11:00~12:00(10:40 OPEN)
      【午後の部】14:00~15:00(13:40 OPEN)

  • 会場:旧・飯能織物協同組合事務所「蔵」1F(埼玉県飯能市仲町6-1)
       ※公開リハと会場が異なります。

  • 対象:小学生以上、各回先着10名。

  • 費用:1人につき1,500円(♪ワンドリンク お茶菓子付き)

  • 詳細:https://kura.beleafplus.com/eventpost_id/20230924

\大人のグループの方には、本番コンサートがおすすめ!/

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