専門家目線になる漢方薬の使い分け②〜当帰芍薬散と加味逍遙散〜
ひきづづき、女性の三大漢方薬について詳しく見ていきましょう。
今回は、『当帰芍薬散』と『加味逍遙散』を比較してみます。
大まかにいうと、
『血虚』『水滞』の症状がめだつ時には、当帰芍薬散
『気滞』の症状がめだつ場合には、加味逍遙散
となります。
当帰芍薬散の中医学的解説
『血虚』が前提にある時に用いるのが『当帰芍薬散』です。
全身性の血虚のために滋養できずに栄養失調になると、特に肝や脾の働きが悪くなります。
肝のはたらきが低下すると、さらに脾のはたらきに影響して水質代謝に問題が起こる→ 水滞(むくみ・めまい・立ちくらみ)
というのが、大まかな流れです。
加味逍遙散の中医学的解説
加味逍遙散は、『肝のめぐりが悪くなった』ために、『気滞=気のめぐりが悪くなった状態』が前提にある場合に用います。
脾胃のはたらきはそれほどまだ低下していないので、水滞(むくみなど)はまだみられないですが、とにかくストレス・自律神経の乱れがある場合が適応となります。
ささいなことにイラッとする、寝る時にもいろんな心配事が頭に浮かんできてなかなか眠れないなどの精神的な症状も見られることが多いです。
当帰芍薬散と加味逍遙散の比較
補足
加味逍遙散単独では、効果がイマイチという場合には、『補腎』や『疏肝』作用を高めるために、漢方薬を合わせることもあります。