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専門家目線になる漢方薬の使い分け12〜ダイエットに使える漢方薬〜防已黄耆湯


中医学で考える肥満のタイプ3つ


中医学で考える肥満のタイプは、3つあるというお話をしました。

簡単にまとめると
① 脂っこいものや甘いものが好きで食欲旺盛なタイプ
② ストレスで食べすぎてしまい、代謝が悪く太ってしまうタイプ
③ 普通に食べているのにも関わらず太ってしまうタイプ

です。

③の場合には、エネルギーとなる『気』が不足しているために胃腸のはたらきが低下し、通常に食事をとっているにもかかわらず、栄養を自分のエネルギーとして利用することができず、利用されない分が脂肪となって蓄積してしまいます。

このタイプに使われるのは、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。

防已黄耆湯が合うタイプ


元々の虚弱体質、または老化などで胃腸の気が不足し、胃腸のはたらきが悪く、普通に食べている、もしくは食事に気をつけているにも関わらず、栄養素を吸収・運搬して利用する力が不足しているため、エネルギーとして利用されない脂肪が痰湿となって定着して肥満を引き起こすタイプです。

見た目だけでは判断できませんが、多くは色白で、ぽっちゃりしていて筋肉質ではない方に適した漢方薬です。

このタイプでは、甘いものを好むことが多いのが特徴です。

甘いものを好むのは、エネルギー源が不足しがちのためで、より効率的にエネルギーに変換できる『甘いもの』を体が欲しているのです。

でも、甘いものを食べることでより脂肪は蓄積しやすくなり、さらに体重が増えてしまうことにつながります。



防已黄耆湯が合う『気虚水滞』タイプの特徴

防已黄耆湯が適する方は、日中の疲れがひどい、汗をかきやすい、風邪をひきやすい、体や膝に重だるさを感じるなどの などの気の不足と水分代謝が低下した状態が見られることが特徴です。

✔︎四肢が怠い・重だるい
✔︎食欲不振・味がしない 
✔︎甘いものが大好き
✔︎色白・水太り(下半身が太い)
✔︎泥状~水様便 お腹が張った感じがする
✔︎関節痛がある
✔︎汗がよく出る(寝汗も含む)
✔︎冷えがある(特に下半身)


生活習慣・食習慣の見直し


このタイプには、ぐったりと疲れてしまうような激しい運動は不向きです。
疲れない程度の軽い運動と、漢方薬で、胃腸のはたらきを高めて代謝をよくし、食事の見直しからはじめましょう。

熱を通した、消化されやすいものをよく噛んで食べ、胃腸のはたらきを助けるために軽い運動をしましょう。


防已黄耆湯の構成生薬


黄耆:気を補い、体表を固めて気が出ていくのを防ぐ
白朮:気を補い余分な水分を除く
防已:体内の湿を除き、痛みを止める
生姜:体内を温めて胃腸のはたらきを高める
大棗:気を補い、調和させる
甘草:気を補い、痛みを止めて調和する


防已黄耆湯の特徴は、名前にも出てくる『黄耆』と『防已』が配合されていることです。

黄耆は、人参と並ぶ補気薬(気を補う生薬)の代表ですが、人参が『気』を根本的に増やすことに対して、黄耆は、体表を固めて気が外に出ていくのを抑えるという特徴を持っています。

体表の気は『衛気』と言って、花粉やウイルス、細菌などの外敵から体を守るための砦ともなるもの。
この気が不足していると、気が外に流れ出しやすいだけではなく、外からの病邪も入ってきやすいため、免疫力や抵抗力が低下して風邪を引きやすくなったり、体調を崩しやすくなったり、花粉症などのアレルギーが起こりやすくなったりするのです。

防已黄耆湯は、『気』を補いながらも、余分な水分を除き、水分代謝よくする働きがあるのです。

その他


防已黄耆湯は、漢クラシエ薬品株式会社から、「コッコアポL錠」、ロート製薬株式会社から、「ラクリア」などの商品名でも販売されています。


*防已黄耆湯を利用する場合には、薬剤師・登録販売者などの専門家にご相談の上ご購入ください。

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