中医学の応用②・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜気滞タイプ
今回ご紹介するのは、気の流れがスムーズでないために全身にエネルギーが行き届かず、『疲れ』として感じるタイプです。
中医学では、これを『気滞(きたい)』と言います。
『気滞タイプ』
過度の緊張・ストレス・自律神経の失調などにより、気の流れがスムーズでないためにエネルギーが全身に行き届かず、疲労・倦怠感を感じるものです。
ずっと疲れている状態というよりも、突然、あるいは疲れたり疲れなかったりする状態であることが多く、少し休めばまた回復することが多いのが気虚タイプとの違いです。
このタイプは、大きく2つのタイプに分けられます。
三焦の気機不利
*『三焦(さんしょう)』とは、中医学独特の考え方で、気と津液が通行する経路のことです。
三焦の気機不利タイプの症状
✔︎ 突然疲れを感じるがまもなくすると回復する
✔︎ イライラ
✔︎ 口が苦い・口の乾燥
✔︎ めまい・眼のかすみ
✔︎ 胸脇部がはって苦しい・寒くなったり熱くなったりする
✔︎ 吐き気・食欲不振
✔︎ 動悸
✔︎ 咳
✔︎ 汗が出ない
✔︎ むくみ・排尿困難など
このタイプでは、自律神経の調整作用の強い『柴胡』が配合された漢方薬が良い適応となります。
三焦の気機不利タイプに適応のある漢方薬
●柴胡加竜骨牡蠣湯
●小柴胡湯
●柴胡桂枝湯 など
柴胡加竜骨牡蛎湯は、よりイライラや強く、カッとなってすぐに周りに当たってしまうようなタイプ、柴胡桂枝湯はいらいらというよりも食欲不振やや吐き気などのストレスが胃にくるタイプに良いでしょう。小柴胡湯はその中間くらいです。
肝うつ気滞タイプ
緊張・精神的ストレスなどにより肝気がうっ滞し、全身の気の流れが滞ってしまう状態でで、情緒面や自律神経系の緊張があり、精神的な疲労が生じるタイプです。
肝うつ気滞タイプの主な症状
✔︎精神的な原因で、突然に疲労倦怠感を感じる
✔︎抑鬱感・やる気が出ない
✔︎イライラ 怒りっぽい・ヒステリック
✔︎頭痛・不眠
このタイプでは、体力的には衰えておらず、好きな事に没頭するなどにより疲労倦怠感は一時的に消失することがあります。
ただし、慢性化すると次第に体力や気力も低下し、虚証に変化することがあるため早期にストレスを発散したりストレスへの抵抗性を高めることが大切です。
肝うつ気滞タイプに適切な漢方薬
肝の疏泄機能を高めることで、気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。
●四逆散
●柴胡疏肝散
●加味逍遙散 など
気滞タイプでは、気虚タイプほど疲れの症状がひどくなかったり、ずっと疲れているわけではないので、ご本人も頑張れてしまいます
でも、無理していると慢性的なエネルギー不足になってしまうこともあるため、疲れを感じる前に休む、漢方薬でリラックスタイムを持つなどの対応をすることが大切です。
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