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子どもを傷つけないでいられる母親なんていないのです《愛着障害と付き合う》
「育て方を間違えちゃったのかも」
大きなダイニングテーブルを囲う食器棚には、丁寧に細工が施されたグラスが飾られていて、暮らしの豊かさを物語るものでした。
ため息混じりに呟いたのを、内心「そんなことはないですよ」と否定するも、きっとこの思いは届くことはないんだなと寂しくなりました。
両親からされて、嬉しかったこと、嫌だったこと、どちらが多いでしょうか。私は丁度半分半分だと感じています。
ヘビースモーカーだった父親のタバコの煙が大嫌いでしたが、深夜の散歩に付き合ってくれる優しさは大好きでした。話すことを肯定的に受け止めてくれて、応援してくれるので、いくら話しても話し足りないのです。
大人になった今でも子どもの時のことを思い返すと、悲しくなったり嬉しくなったり様々な感情が湧いてきます。
今回は愛着障害と付き合うの第二弾として、親の視点に立ちその葛藤や苦しみを想像することで愛着障害への見方を考えていきます。
orange is new blackという、海外ドラマの話です。
母親と娘が同じ刑務所で過ごし、その娘は妊娠中で、産まれてくる子どもを金持ちの義理母に預けるか、貧乏な身内で育てるか揉めるシーンがあります。
母親は娘のように同じ思いをしてほしくないと、養育環境に問題のない義理の母親に預けることを提案しますが、娘は子どもを手放すことになると拒否します。
娘は、金持ちの家庭で育った他の受刑者に「あなたは裕福な家庭で育ってよかった?」と尋ねてみましたが結果的に「あなたもわたしも刑務所にいるわ」と子どもを幸せにするために必要なのは愛だと、示唆する内容を述べていました。
子どもに対して、充分な養育環境が与えられたとしても、子どもの欲求のベースには養育者からの愛情があります。
愛の受け取りには恋人との相性のように凸凹があり、上手くいくことといかないことがあります。
今現在まで苦しんでいるとしたなら、大人になったあなたは冷静に言葉にして伝えることができるのではないでしょうか。
どんな親であれ、多かれ少なかれ失敗を起こすものです。
友人や恋人と喧嘩をするように、意図せずに相手を苦しめてしまうことがあるのだと思います。
関係の改善には和解が必要です。貴方を苦しめている過去の出来事がもしあるのなら、どうしてそうしたのか尋ねてみてください。どうしても聞けないのであれば自分で考えて納得できないか試してみてください。
共感はできなくても理解できるかもしれません。
産まれてから20年ほどは大抵の人は養育者のそばにいます。親が子どもに対して間違った選択をしてしまう中、子どもだったあなたはどうでしょうか。
親の好意に全て答えられましたか?愛情を全て受け取れましたか?そんなわけありません。
子どもだからという理由で様々な間違いを諭され、許されてきました。
私たちも子どもながらに悪意なく傷つけてきました。
親子は傷つけあい、愛しながら育てることができる関係です。
あなたの心の傷が少しでも軽くなるのであれば、親子の関係を見つめることも愛着障害と向き合う一つの方法だと思います。
🍊虐待は容認してはいけません🍊