日常と非日常がまじわるところ
お客様を連れて日帰りツアーへ出かけた、とある梅雨の中やすみ
行き先は熊本県の南阿蘇だった
阿蘇といえば
雄大な自然を感じることができる
九州でも屈指の観光地
大観峰や草千里ヶ浜など訪れたいところはたくさんある
その中で、今回のツアーの目玉は
南阿蘇鉄道のトロッコ列車に乗車することだった
遊園地の列車を思わせるような
少しミニチュア感のある観光列車
梅雨時期だというのに雨には全く降られず
窓も全開、開放感あふれる50分間の列車旅
車掌のガイドのもと、お客様も童心にかえったかのように笑顔が溢れ
家族や友人と楽しいひとときを過ごすことができた
これぞ旅行の醍醐味
日常では感じることのできない「非日常」
阿蘇の悠然たる山々と
生活の中に溶け込んでいる澄み切った水源と
アドベンチャー感満載のトンネルを抜ければ
身も縮むような高さの鉄橋を渡る
それぞれにワクワクドキドキしながらの50分間だったが
特に印象に残った景色があった
それはトロッコ列車に向かって手を振る地元の人々の姿
土日祝日、ハイシーズンには毎日運行しているトロッコ列車は
地元の人々にとっては日常の光景
そして列車の乗客に手を振るのもいつものことなのかもしれない
でも、もしかしたら、大きく振られるその手には
日常が戻ってきた喜びが込められているのかもしれないな
と私は勝手に思いを馳せていた
福岡でも大きな揺れを感じた2016年4月の熊本地震
この地震で南阿蘇鉄道は甚大な被害を受けた
被害の少なかった区間が地震から数ヶ月後に部分開通されたものの
全線の再開通までにかかった期間、7年3ヶ月
地震によって突如奪われた日常
地元の人々にとってトロッコ列車が走らないその光景は
私たちには想像もしがたい長いながい非日常だったのではないだろうか
いつ取り戻せるのかわからない日常に向かって
一歩ずつ前進してきたその力強い歩みを
トロッコ列車に向けて大きく振られる手と
その人々の笑顔から想像して胸が熱くなる
日常の中におじゃまする、旅行という非日常
きれいだね、おいしいね、楽しかったね
ただそれだけではない旅の感じ方を知ることができた南阿蘇の旅
また、トロッコ列車に乗りに行こう
手を振ってくれる地元の人々に
今度は大きく手を振りかえし
勝手ながら「おつかれさま、ありがとう」を伝えたい
南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」が気になるかたはコチラから