#5 日本語を教えるには、まず【文法分析】から
授業準備をしようとする際に、いきなり教案から作り始めてはいませんか?
教案を作るためには、「その授業で何を教えなければならないのか」をきちんと理解しておく必要があります。授業で教えるべきことを理解するために、まずは文法分析を行いましょう!
参考文献
今回のnoteの参考文献はこちら。
文法分析の意義
前回の記事では、教材分析について学びました。以下の6つの項目について、「みんなの日本語」を参考に、分析を行いました。詳しくは記事をご覧ください。
教材分析を通して、その教材がどんな人に向いているのか、どのような使い方が効果的なのか、どんな順番で何を教えればいいのか、ということを理解することができたと思います。
今回は、分析項目5. の「学習項目」について詳しく見ていきます。前回は「初級文法」と一括りにしてしまいましたが、具体的にどんな文法の何を教えるのか、「みんなの日本語」第5課を例に見てみましょう。
第5課には、このような学習項目が提示されています。
これが“文型”ということになります。「N」は名詞(Noun)の頭文字です。
名詞は名詞でも、Place=場所を表す名詞が入ります。そして「〜へ行きます/来ます/帰ります」と続きます。
では、この“文型”に従って、「帰ります」の例文を作ってみましょう。
さて、このような文は正しいでしょうか?「コンビニ」も「銀行」も、場所(Place)を表す名詞です。
文の“形”としては正しくても、意味的には正しくないことがある、ということがお分かりいただけたでしょうか。このことから、「意味的に正しい文にするためには、形(文型)だけではない何かしらの制約がある」ということが言えます。その制約を調べるために、文法分析をしていきます。
分析する内容
文法分析では、以下の点について分析を行います。
「使い方」というのは、その文法を【誰が誰に、どんな状況で使うのか】ということです。
「形、接続」というのは、動詞の活用形(て形・た形・ない形等)や、共起する語彙(コロケーション)などが当てはまります。
それではここで、「みんなの日本語」第2課、これ・それ・あれを例にとって、文法を分析してみましょう。
皆さんがこれ・それ・あれを教えることになったら、どのようなことを教えますか?これ・それ・あれの意味や使い分けは、どのように理解していますか?それぞれの意味、使い方、どうやって指導するかを少し考えてみてください。
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