にじいろガーデン
レズビアンの泉、千代子の二人が懸命に暮らしていく物語。
そしてゲストハウスを作り、いろいろな人を受け入れていく物語。
泉には草介という子供がいて、千代子には宝という娘がいた。
基本的に章立てごとに物語が進んでいくんだけど、一番草介に感情移入してしまったね。
やはり私も同じ男だからだろうか。
彼は優しすぎる。
たまに荒れる女性だけの家族を裏で支え、一人知らず知らずに抱え込んでしまう。
草介はレズビアンの二人を親として見ていて、反抗期もなく、母である泉が千代子と同棲し、暮らしていくのを何の不満を言うこともなく、受け入れて暮らしてきた。
いきなり驚くよね。小学1年生の男の子が母に「パパと離婚して新しい女性と暮らしていく」と言われたらね。
でも草介は優しかった。
家族やゲストハウスに来る人の悩み事も聞いてあげるのが生きがいになった。
話を聞くことが好きで、成人後もコールセンターに就職して休日にはボランティアでお年寄りや災害にあった人の話も聞いたりね。
でも、誰にも言えないことがあった。
もう片方の血がつながっていない母、千代子が好きだった。
千代子とは歳が一回りしか違っていないので異性として見てもおかしくなかったらしい。
で、ここからが驚く展開で千代子がガンで亡くなった直後、バイクに乗っていた草介が崖にバイクごと飛び降りて、植物状態になってしまった。
今まで抱えてたものが限界を迎えたのかもしれないね。
でも、草介が母である千代子に「好きです」なんて言っちゃったら確実に家庭は崩壊していただろうね。
言えるはずもないしかなうはずもない。
千代子はレズビアンだし、草介の実の母である泉と愛し合ってたんだから。
結局植物状態のままエンディングを迎えたし、ほんとに可哀そうだなとしか言いようがない。