1980.9.18 日本の歌シリーズ 第7集 赤とんぼ
秋の日は釣瓶落としと言われますが、散歩の途中ふと目にした真っ赤な西の空が数分歩くと空の暗さでくすんだ紫色に変わっていました。夏の間は日差しの暑さで周りを見渡す余裕が余りありませんが、今の時期は歩いていると色々なものが目に入ってきます。
ジャン・ジャック・ルソーの「孤独な散歩者の夢想」を久しぶりに読み返しているのですが、そこには散歩するルソーが秋の郊外の情景から感じる哀しさが記述されています。
幾日かまえにぶどうの収穫は終わっていた。散歩する都人の姿はもう見られなかった。農夫も冬期の仕事まで野良を去っていた。まだ緑におおわれて、晴れやかではあるが、ところどころ落葉もはじまって、もうほとんど人影のみえぬ田園のながめは、いたるところにわびしい影をみせ、近づく冬を語っていた。そのながめからなつかしさと悲しみの混じり合った感じがわき起こったが、その印象はわたしの年齢と境涯にあまりにも似かよっているので、それをわが身にくらべて考えずにはいられなかった。
散歩をしながら浮かぶ昔の出来事やちょっとした思い付き、目に入った景色から思い出すことなど、様々な想念は余りにも雑多に過ぎて全て記憶しておくことはできないのですが、今後はそういった脳内の思考の流れもAIなどで可視化して保存や再利用ができるようになるかもしれません。
昭和55年9月18日に日本の歌シリーズの第7集として赤とんぼが発行されました。このシリーズでは歌の出だしの楽譜が印刷されています。シートの耳紙には日本著作権協会の承認番号が印字されているそうです。
絵柄は田舎の山とすすきの草むらを背景に、紺絣の着物を着た若い女性が赤とんぼを手に止まらせてようとしている場面です。当時はまだ街中でも赤とんぼがいたのかもしれませんが、今はめったに見かけなくなりました。
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