コラム#11 あなたはどの段階で日本語が読めなくなるのか?
最近、「日本語が読めなくなってきている」人が増えています。これは日本語の識字率が低下しているという話ではありません。
問題は、日本語の文章を正確に「読んで理解する力」が衰えていることです。
その原因を探り、解決策を得るヒントは「あなたがどのレベルまで有機的なつながりを持って日本語の要素を考えられるか」にあります。
単純な文は簡単に理解できる
たとえば、以下の文を例に挙げてみます。
この文は以下の要素で構成されています。
この短文を理解するのは非常に簡単です。ほとんどの日本語話者が「今日」と「晴れ」という語を拾い読みするだけで、主語と述語の関係をすぐに把握できます。このレベルであれば、特別な読解力を必要としません。
修飾語が増えると難しくなる
次に、以下の文を見てみましょう。
この文には「雲一つない」という修飾語が追加されており、単語数が増えています。
この段階では、修飾語と被修飾語の関係を正確に理解する力が必要になります。この関係を把握できないと、「単なる晴れ」と「雲一つない晴れ」の違いが曖昧になってしまうのです。
また、拾い読みをする人にとって、この文の述語文節が「雲一つない」なのか、「晴れだ」なのかはどうでも良いことですから、「雲一つない」まで読んで、文の読み取りを止める可能性があります。
重文や複文はさらに負荷をかける
文がさらに複雑になると、読解力への要求が一層高まります。以下の文を例に見ていきましょう。
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