ピカチュウなのに、はっぱカッターの練習をするな
ずっと、気がかりなことがあった。
バンドを辞めた、わたしのこと。
20代は言葉の通り、音楽活動とライブ、ライブハウスに捧げた。
捧げた、という言葉が正しいかどうかわからないけれど、とにかくライブハウスばかりにいた。
月に2〜4本のライブ、仕事はライブハウスのスタッフ、店長の好意で店で練習させてもらっていた時期もあったので、家かライブハウスにしかいない、みたいな状態が続いていた。
紆余曲折あって、脱退と活動休止を何度か経て、わたしはひとりになった。
周りの友達は、音楽活動を続けていたり、次の目標を見つけたり、結婚したり、
なんだか、何かを成し得ていたように見えた。
わたしはといえば、特に好きでも嫌いでもないアルバイトの量を増やしてみたり、弾き語りをしてみたり、友達の仕事を手伝ってみたり、
どれもそれなりにやりがいがあって、
それなのになんだか、摩耗してゆくばかりで。
成し得ない、
自分にはずっと何かが足りなくて、それがわからなくて、水際ぎりぎりで息をして、どこかにたどり着いても安心できなくて(あるいは長く続かなくて)、また飛び込んで溺れる。
そのくせ、手に入ったものは何もない。
誰かが紹介していた、八木さんの1冊目の著書を読んだのは、仕事をクビになって、無職のときだった。
いろいろ勉強になるなぁ、などと思ったけど、無気力だったわたしは、一度読んだだけで、メモを取るわけでもなく本を閉じた。
ただ、このときの感想を覚えている。
自分が覚えておきやすいように変換したけれど、確かそんなようなことが書いてあった。
そして、何度も友人たちに問いかけた、この質問を思い出した。
それは、感情論ではなく事実として、こんな答えを求めている。
同じ、バンドマン(ライブ活動をしている人)でも答えが異なっていて、なかなかおもしろい。
そしてわたしは、歌詞を書くことと、バンドの運営を考えることが好きだった。と思う。
そのときは、誰かと何かを作り上げることにも疲れてきてしまったし、なにより「ひとりでは何もできない」という恐怖もあいまって、とりあえずエッセイを書くことにした。
そして、いまに至る。
八木さんが次の本を出版することを知ったので、CAMPFIREで買うことにした。
発売後にAmazonで買うことになるだろうから、せっかくならサイン付きがいいな〜〜〜発売したばかりの本を読む、というのも心が躍る。
本当は内容を整理して感想文を書こうと思ったのだけれど、
要約されたわかりやすい感想は世の中に溢れているし、なにより八木さんご自身のnoteがいちばんわかりやすい。
わたしがあなたに伝えたいことは、ひとつだけ。
ピカチュウっていうのは、みなさんご存知の通りでんきねずみです。
「ピカチュウ、10万ボルト!!!」と、サトシが叫んでいるのを見たことがあるはず。
そう、ピカチュウはでんき技が得意なのです。
ポケモンの世界では、「ピカチュウ=でんきタイプ→でんき技を使う→わざの威力が1,5倍になる」というルールが存在します。
くさ技のはっぱカッターはそもそも覚えることができないんです。
だから、練習したって仕方がない。
そりゃあ、そうだよなァ。と思うわけです。
それは、わたしにも言えること。
そもそもわたしは、自分が何タイプなのか知らなかった。
なにタイプかもしらないけれど、とりあえずはっぱカッターを練習していたような気がします。
自分のタイプを知らず、
既に習得している技も確認しようとせず
「とにかくたくさん覚えなくちゃ」、または「何か覚えなくちゃ」と躍起になっていた。
ポケモンは現在、「でんき、くさ」のようなタイプ分類が18あります。
そして必ず、「得意なタイプ」と「苦手なタイプ」があります。
もちろん実際のポケモンバトルでは、常に控えに相性の良いポケモンがいるわけではない。
人生でも、そうかもしれない。
自分が苦手なことは、みんな苦手かもしれない。
でも、そうじゃないかもしれない。
我が家の家事は、完全に分担されている。
運が良かったかもしれないけれど、お互いの好きなことをしていたらこうなった。
ときどき、「なんでアタシが毎回ゴミ捨てなきゃいけないのヨ」と思ったりするけれど、同居人はゴミの日を覚えられないのだ。
でも、料理はとにかく好きらしい。楽しいらしい。
「ホワイトソースを混ぜているときがいちばんしあわせかもしれない」と言って、ゾッとした。
それ、一般的にはいちばんめんどくさいって言われてる作業だーーー
(家事についてのモヤモヤを抱える同志は、カワグチマサミ先生の漫画がおすすめ)
同居人にとっては、当たり前の「ホワイトソースを混ぜるときのしあわせな感覚」
わたしには、ゴミの日を覚えることは容易いが、同居人には難しい。
わたしたちはそれぞれ、別の当たり前を有している。
そのことに、気づけていない。
ポケモンでいうならば自分が何タイプで、何の技を使うと威力が上がって、威力が上がらなくても覚えられる技は何なのか。
その、「才能」を見つけること。
例えば、ホワイトソースを混ぜることも、ゴミを忘れずに捨てられること
ついついやってしまうことを、「才能」と呼べるようになり、理解してゆくこと。
それが、【世界一やさしい「才能」の見つけ方】
わたしには苦手なことばっかりある。
そればかりを数えてしまう。
予定を立てるのが苦手、規則正しい生活が苦手
この本では、「予定を立てるのが苦手なおかげで、直近のスケジュールには反応しやすい」「規則正しい生活が苦手なおかげで、自分の好きなタイミングで頑張れちゃう」とか、
自分の得意なところを、引っ張り上げてくれる。見つける、お手伝いをしてくれる。息がしやすくなる。
ピカチュウが、いわタイプを苦手とするように、わたしにも苦手なタイプがある。
それが、「なんとなく嫌だから」ではなく、「これだから嫌」に言語がするお手伝いをしてくれる。
そうすることで、自分のタイプとか、使うべき技、あるいは既に習得している技を理解することができる。
巻末にはたっぷりと特典がついていて、「才能の具体例1000リスト」や「才能を見つける→活かす→育てる3000の質問」なんかは、読んでいるだけでおもしろい。
今まで、「なんとなく」とか「当たり前」だった、自分のことが紐解かれてゆく気がする。
質問されるのって、なんだか楽しいよね!と思うのはわたしだけだろうか。
巻末の特典を読んでいると、そんな気分になる。
なんだかピンときた!と思ったなら、ぜひ読んで欲しい。
わたしと同じように、上手に息をすることができない同志が、少しでも救われますように。
*
*
*
こういった本の紹介っていうのは、もうちょっと本の内容に触れたり、要約部分が多いことが大半だと思う。
見栄を張っていると思われるかも知れないけれど、そういうものもたぶん書ける。時間をかければ、書ける。
要約する作業も、楽しいと思う。
でも、もっと楽しいのは、「自分の経験と交えて、あれこれおしゃべりするみたいに書くこと」だと思う。
今までは、「わかりやすいまとめ、感想文を書くことができない」というのが、ものすごーーーくコンプレックスでした。
コイツ、自分の話しかできないのかよ、って。
今日は、それが自分の才能ではないか、とーーー信じるにはまだ至っていないけれど、とりあえずそんな仮設で書いてみました。
やっぱり、書いていて楽しかったです。
この3500文字が、あなたの「なるほど〜」に少しでも繋がれば幸いです。
2023年4月7日 ねる
「せか才」出版記念セミナーの感想文はコチラ
※過去に書いた感想文たち