君の毛布になりたい
朝、目が覚めた。7時半。
今日は昼から病院だから、9時半に起きればよくて
昨日は夜、あれやこれや熱く語ってしまって、ベッドに潜り込んだのは3時半だった。だから、もう少し寝なくては……
どうしても夜のほうがスッキリと動けるので、夜に熱く書いたり、語らったりしてしまうときがある。そういうときは疲れ果ててもなかなか寝付けず、不思議と短時間で目が覚めてしまう。そうして、また眠れなかったりする。
そういうときに起き上がってしまったもいいのだけれど、なんというかそこまででもなくて、寒いだけなのかもしれないけれど、毛布の心地の良さに埋もれてゆく。
そうして時間ばっかり過ぎて、時計を見たらもう8時で、そういうときは、少し焦ってしまう気持ちをなだめる。
「目をつむっているだけで、体力は回復するからね」
そう言ってくれた人がいた。
圧倒的に文系が多い仲間うちで、数少ない理系で、理系っていうとちょっと賢そうに見えた。だから、「この人が言うならきっとそうなんだろう」と信じられた。わたしは、この言葉を真実にしようと決めた。
寂しそうな人で、わたしはその顔が好きだった。優しい人だった。それは、底なし沼のような甘さではなくて、もっと人間味のある、一生懸命な優しさだった。そういうところが、好きだった。
眠れない夜には、好きな人を思い出す。
最後に会ったときも好きで、そのあとに会っていないので、嫌いになる理由もなくて、今も好きだと思う。
好きな人の言葉なら信じられる。
口にすれば、なんだか易いような気がするけれど、本当にそうだと思う。
あなたを好きになってよかった。
自分の内から湧き出る言葉ではどうしようもないこともない毎日で、その言葉だけは夜中にも明け方にも、毛布と一緒にわたしを包んでくれる。
そしてわたしも、恐れ多くも誰かの毛布になりたくて、今日も言葉を紡いでいる。どうか苦しいときに、わたしの甘さに騙されてくれますように。
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