学習効果を上げる「カテゴリー」、下げる「カテゴリー」。
言うまでもなく学校は集団生活が基本です。その集団生活の中で子どもたちは、様々な社会的カテゴリーを行き来して生活しています。
本日の記事は、そんな話。
社会性を身につける小学校だからこそ、
「子どもたちが成長できる方向へ導くのが教師の役目だよ。」
という話です。
▶社会的カテゴリーとは。
前提として「社会的カテゴリー」とはなんだ? という話ですが、これは誰しもが集団生活の中に身をおくことでさらされている状況のことをいいます。
小さい頃は、「僕」は「僕」ですが、成長するに従って、
ときに「僕」であり、時には「○年○組の僕」である。そして、時には「○○小学校の僕」というように様々な「僕」が存在します。
このように人は、
「いくつものカテゴリーを自然といったりきたりして生活している。」
のです。
▶カテゴリー化の注意点。
「カテゴリーがなんだ?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、この考え方を教師や親が知っておくことはかなり重要です。
なぜか? その理由は、
「カテゴリー化が、子どもの能力に影響を与える!」
からなのです!
例えば、子どもたちを
①読書が得意な子ども
②読書が苦手な子ども
という2つのカテゴリーに分けて支援するとどうなると思いますか?
結果は、
「得意グループはますます得意に、苦手グループはますます苦手になっていく。」
ということが知られています!
そうです! まさに、マインドセットですよね。自分の能力をどのように捉えるかによってその後の結果にも影響を与えるのです。この結果から学ぶべきこと書いていきます。
▶カテゴリーに分けるなら注意深く!
そうは言っても集団生活の母数が多いのであれば、小集団に分けることの効果は否定できません。そんなとき注意すべきは、
「対極で分けてはいけない。」
ということです。
例えば、我が校でも算数を少人数に分けて授業しています。
その最大のメリットは、子どもたちのニーズに合わせた指導に少しでも近づけること。教師が子ども一人一人にできる支援時間が長くなるということがあげられます。
そのグループ分けの際、やってはいけないのは対極の2グループです。
先程の例にも示した通り、「できる」「できない。」とか、「得意」「苦手」という印象が伝わってしまう対極のグループ訳にすると、
「その差がますます開いてしまう!」
危険性があるのです。
もちろん、子どものモチベーションにも大きな差を引き起こすでしょう!
余談ですが、「男女」のカテゴリー分けもおすすめしません。
高学年になると男女間の違いを意識するのは当然のことですが、そこで教師が特に配慮もなく男女で分けると、より男女間の意識が高まるのです。
必要以上に気にすると、学級のまとまり感を阻害することにつながりかねません。
ドッジボールのチームを男女別にするというような発想はやりがちですし、子どもたちなりの気遣いかもしれません。
しかし、
「男女が混ざっていてもみんなが楽しめるような特別ルールを計画!」
とした方が、今後の学級経営、人間関係づくりにもより良いでしょう!
▶カテゴリーに分けるなら、目的は共通に!
また算数の少人数指導を例に考えましょう。
何よりも大切なことは、
「子どもがそのカテゴリーの目的を理解して臨んでいるか。」
という子どもたちの意識です。
その意識をもってもらうためには、
「カテゴリー分けの目的意識を伝え、子どもが自分から選択すること。」
が大切です!
例えば、
①個人追究メインで必要なときだけ助言を求めるグループ。
②みんなで考えて解法を導き出すグループ。
③教師と共に確認しながら進めていくグループ。
のように、「ゴールが同じでも、目指す過程が違っている。」という説明を加えるのが大切なのです。
そのグループの目的を意識して前向きに取り組めるようにしたいものです!
▶まとめ。
本記事では、「カテゴリーは目的意識をもって。」という話題をまとめました。
何度も書きますが、モチベーションが命です。自分で選んだカテゴリーで、自分に合ったペースで学習を進めることで、達成感を積み重ねていきたいものです!
とはいえ実際の教育現場は、子どもの実態に合わせたカテゴリーを用意することは難しいでしょう。
圧倒的に教師の人数が不足しているのですから。少人数という響きだけで、結局20人は超えてきます。
学習効果を上げ、子どもたちにより良い学習を提供できる時代の到来を切に願います!