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サトイモの皮、剥くか剝かないか。
あるイベントの厨房スタッフとして手伝うよう呼ばれ、はいよっと気軽行ってみたもののモヤっとした件。
きっかけは、
「サトイモの皮、剥いたことありますか?」
の一言だった。
一緒に行った同僚は、その時の私の顔を見て
背筋の凍る思いをしたらしい。
「サトイモの皮、剥いたことありますよ」
返事をしてみたものの、声は震えていたのかもしれない。
今思えば、その場を笑って過ごした方がどれだけスマートだったことか。
年齢だけは私の方が喰ってるはず。
こういうときの対処は心得ていたはず。
でも、出来なかった。
だって私、地元じゃ料理好きで知られてる。
…と、自分自身で思ってる。
調子に乗った心意気が、声を震わせてしまったのだ。
これは、恥ずかしい。
若いシェフは大量のサトイモを前に、呆然としていた。
ちょいちょいスマホで何かを確かめながら指示してくる感じが、サトイモ好きで冬になればいっつも食べてるタイプの人間ではない感じがした。
私は、サトイモは綺麗に洗って、皮が柔らかそうなら皮ごと調理します。食べるときに灰汁を強く感じたら、その時剥けばいい。まして、バーベキューグリルで蒸し焼きするのなら始めから皮なんか剝かねぇよ。
50近いオバちゃんの息づかいは荒く、心の中は見苦しいものだった。見えなくて良かった。
私は、野菜が好き過ぎるんかもしれない。
とくに作った人の顔がわかる野菜は、余すことなく食べられるよう工夫したい。飽くなき追求は時折失敗もするが、お腹が痛くなるほどのことはない。家庭料理だからかな。
求められるものが違うシェフと私には、イムジン河ほどの隔たりがあるのか。年の差か。
何にせよ、恥ずかしいような、モヤっとするような思いが混ぜこぜで、どうもサトイモがうまく喉を通らない。
この冬はサトイモを調理する度に思い出すだろう。
サトイモの皮、剝いたことありますよ。
【サトイモの煮っころがし】
①サトイモは大きめのボウルに入れ、水をたっぷり入れ、板か何かでゴロゴロ回す。ある程度汚れがとれたところで水を切り、塩を入れてモミモミ、よくよく洗う。
②フライパンに洗ったサトイモ、ひたひたの水を入れ蓋をする。中火でやわらかくなるまで蒸し焼き。途中、吹きこぼれないよう注意。
③やわらかくなったところで水切り。あま酒、醤油を入れて混ぜながら中弱火で煮る。煮汁がなくなったくらいで火を止めてしばらく置く。
【豚汁】
①豚バラ肉を適当に切り、塩こうじを入れモミモミ。脂身が甘いのを選ぶ。
②鍋に胡麻油をひき、豚バラを入れ炒める。
③ゴボウ、ニンジン、大根、皮を剝いたサトイモを適当に切って投入。油となじませたところに水を入れ、ナメコを入れて中火でコトコトする。
④野菜に火が通ったところで、ネギ投入。
⑤田舎味噌を入れ味を整える。