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光ファイバ、『レーザー』を導いてくれ

光を目標位置まで導く方法は2種類ある。
1つはレンズやミラーを使って導く、はねいぬの好きな空間伝送。
そしてもう1つが、光ファイバを通って目標点近くまで導く、光ファイバ伝送である。
空間伝送はちらっと書き始めたので、今回は光ファイバ伝送である。

レーザを導くことに関しては、とにかく光ファイバ伝送はお手軽である。
本来はミラーやレンズを使って直線的にしか曲がらないレーザ光を、極細の光ファイバの中に閉じこめるので、余裕でクネクネ曲げられるからだ。
イメージでは水まきをするホースくらいクネクネ曲がる。
実際に光ファイバを購入するとホースのように巻かれて届くのだから、光用のホースと言えるくらいだ。

光用のホースである光ファイバは、どのような原理で光を伝送するのかは意外と知られていない。
だが光の性質は空間伝送だろうが、光ファイバ伝送だろうが、変わることはない。
光ファイバの中だろうが、人類が生きている空間だろうが、宇宙空間だろうが光は反射か屈折でしか曲がらない。

そしてもう1つ、光ファイバの構造を理解することだ。
光ファイバはだいたいは屈折率の異なる2種類(以上)のガラスから作られていて、片方のガラスが「コア」と呼ばれ中心にありここが光の通り道である。
もう片方が「クラッド」と呼ばれてコアの外側を囲むような構造になっている。
どちらのガラスも断面は円形をしているのが基本で、コアを中心にクラッドが同心円状に囲んでいる。
これを前提に考えれば、光ファイバの中を光がどのように進んでいくかの答えはとてもシンプルだ。

もしすでにはねいぬの記事をいくつか読んでくださっている諸氏がいれば、光は屈折率の異なる2種類の材料の界面で屈折することを想像されるかもしれない。
だがしかし、屈折は界面で曲がっても光はそのまま進む。
なので屈折では光はクラッドを抜けて彼方へと去っていき、二度と戻って来てくれない。
もう残された光の特徴は1つだけ、反射である。
だがただの反射ではない。
「全反射」である。
全反射については別記事にしたいくらいのボリュームなので本記事では触れないが、材料に対して非常に浅い角度で光が当たるとガラスがミラーみたいになるのだ。
お正月名物の湖面に反射して見える逆さ富士こそ、湖面をミラーとする全反射の分かりやすい例である。
逆さ富士は湖面に富士山は見えても湖の中は見えないので、ほぼ全部の光が反射されているのだ。

光は直径数十umから数umほどの狭い光ファイバのコアの中を、全反射しながら進んでいくのである。
光はどこを進む時も自身の特徴を変えることをしない、なんという強い意志か。
羨ましい限りだ。


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