HANEINU

現役レーザ加工エンジニアです。 『レーザで加工できないモノは存在しない』、『機械加工で…

HANEINU

現役レーザ加工エンジニアです。 『レーザで加工できないモノは存在しない』、『機械加工でできてレーザでできない訳がない』、を心の支えにレーザを信じて信じて今日も加工しています。 レーザのリアルと妄想、たまにアニメと漫画をロジカルに好き勝手に発振・・・発信していきます。

マガジン

  • レーザ技術

    レーザの概要から詳細、基本から現在のトレンドまで

  • 知見を得た中二のレーザ技術

    不治の病である中二病に罹患したままレーザ加工の知見を得たがために、妄想が止まらなくなって書いた記事。

  • レーザを学ぶなら光学素子も学べ

最近の記事

  • 固定された記事

そのとき不思議なことが起こった『レーザー』がでたのだ

レーザが出ることは、全理系の父であるアルベルト・アインシュタイン先生にとって、普通のことだった。 だがしかし、時代と技術が追いついていなかった。 そんなレーザが産声をあげたのは1960年のことだ。 2020年の論文や専門誌の記事には、「レーザが生まれて60年」とやたらめったら書かれていたのは、記憶に新しい。 はねいぬも、3、4記事に書いてしまった。 読者諸氏には同じ書き出しで申し訳なかったが、それほどに嬉しかったと覚えている。(記事の主題は欠片も覚えていないが) さて思い出

    • 極太vs極細

      極太のビーム兵器には、人を引き付ける魅力がある。 思い浮かべてほしい、ツインバスターライフルとビームソードを。 あんな極太ビームライフルなら当然リーブラの破片を流星群に変えることができるし、あんな極太ビームソードであればバルジが爆発に至るほどの斬り込みができる、そう納得させられるほどの魅力がある。 格好良すぎるビジュアルのせいで、極太ビームは本当にとんでもない威力を持っていると思い込めてしまうのは、日本アニメの技術力と演出力の成果にほかならない。 しかしこの世界トップクラスの

      • SOUND of LASER

        レーザと音は、信彦と光太郎のように生まれた時からの親友と思えるほどに行動を共にしている。 いや、そう普通に受け入れられるようにはねいぬ達は過ごしてきた。 それはテレビや動画サイトで見られる実際のレーザ加工の現場だけでなく、特撮やアニメにゲームにもよるのだろう。 実際のレーザ加工でも加工中はビーーーという音が聞こえてくるし、特撮やアニメでは発射のタイミングや何かに当たった時にも音が出る。 おかげさまでレーザは音が出るもの、むしろ音が出ることが普通と捉えられているのではないかと心

        • mode、モドモドモード!

          レーザ屋さんと光学屋さんも理系だけあって「モード」という言葉を使うのが大好きだ。 光の伝送状態に、共振状態、加工のされ方など、やたらと「モード」という言葉を使う。 話す方も聞く方も日本人なんだから日本語で良いだろうと思うし、そもそも外人と英語で「モード」について話す機会がどれだけあるんじゃいとも思う。 「モード」ではなく「状態」で良いだろうが、と叫びたいくらいだ。 まあ、それはいい。 光のモードの区別は簡単だ。 8割方は「シングルモード」と「マルチモード」しか存在しない。

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        そのとき不思議なことが起こった『レーザー』がでたのだ

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        記事

          理解せよ、バースト加工

          バースト加工がレーザパルスの時間的間隔を短くすることで、昇華による加工対象の除去量を増やせると分かった。 好奇心溢れる諸氏は、この理由を当然知りたいと思うだろうが、まだ謎に包まれた部分が多く、学会でも論戦が交わされている。 分かっていることは、最初のレーザパルスによって照射部分が励起状態から戻る前に次のレーザパルスが当たることで、2発目以降のレーザパルスは加工対象を励起することにあまりエネルギを使うことなく昇華に至らせられること。 もうひとつは最初のレーザパルスによる熱が照

          理解せよ、バースト加工

          バースト加工について、何も喋るな

          発振周波数やパルス幅などのパラメータのレーザ加工への影響を理解してくると使いたくなるのがバースト加工である。 なぜみんなそんなに使いたくなるのかと、レーザメーカに所属していたはねいぬにはさっぱり分からない。 もうさっぱり妖精がくっきり見えるほどだ。 やはり「バースト」というワードの強さに惹かれているというのが、はねいぬの結論だ。 エアマスターのあのパワーアップを見せつけられたら、レーザもなんだかパワーアップしてどんな加工も出来そうだと盲信してしまう。 そう、「バースト」とい

          バースト加工について、何も喋るな

          見えるぞ、私にも焼き肉の匂いが見える

          5歳児に叱られ自身の知識の薄っぺらさを痛感しドM感を楽しむために見ている番組で、焼き肉の匂いをレーザで可視化するシーンに出会った。  レーザをモノをドロドロに溶かしたり、文字通り消し飛ばすことに使うはねいぬにとって、測定や観察用途でのレーザ活用は近くて遠い存在だ。 そのためか毎日のように測定や観察で使っていてもなんだか距離があり、原理は分かっていても具体的な光学系やら算出過程をしらないまま使用しているので、冠婚葬祭でしか会わない親戚のようにもう一歩深入りできない関係である。

          見えるぞ、私にも焼き肉の匂いが見える

          立てよ国民よ!光学を学ぶのだ!

          レーザ業界は現在、サービス業よりも運輸業よりも厳しい、空前絶後の人手不足に直面している。 レーザを使ったことがない人を中途採用して、ゼロから教え込むという中途採用の意味を基礎から考えさせられるような哲学レベルで、人材が足りていない。 なぜ人が足りないのか、はねいぬはちょっと考えた。 思いついたのが、光学を学ぶ機会が少ないことだ。 光学の授業や講義が少なくて、さらに深掘りする研究室も少ない、だから光学エンジニアや研究者が少ないのではないかと。 この問題をさらに踏み込むと、人

          立てよ国民よ!光学を学ぶのだ!

          『レーザー』が好きだと叫びたい!

          いつもいつも半分ふざけた記事を書いているはねいぬだが、たまには真面目な記事を書きたくなったりする。 そもそもnoteを始めた理由は、ネットの海で探し出すこともできないレーザのリアルを少しでも多くの人に知ってもらうことにある。 はねいぬがライフワークにしたいと思っていることの1つである「レーザ技術の活用先の拡大」につなげたいというのが、その先の目的である。 光学やレーザの教科書はリアルに数えられるくらいしか発行されていないし、その内容は数式と光学が溢れていてせっかく手に取ってく

          『レーザー』が好きだと叫びたい!

          ディバイダーは最高傑作です

          はねいぬ達レーザ屋さんが「ディバイダ―」と聞くと秒で2つのことが頭に浮かぶ。 パルスレーザのレーザ発振周波数を整数倍で割って周波数を減らすことと、キッド・サルサミルがジャンクパーツから作り上げたビーム兵器である。 はねいぬはレーザ屋さんである。 だからまずはキッドが作ったディバイダ―が頭に浮かぶ。 それにレーザ発振周波数を整数倍で割るディバイダ―は、実はあまり好きではない。 わざわざレーザの発振周波数を減らして、それにつられて平均出力も下げて加工することが、なんとなくレーザ発

          ディバイダーは最高傑作です

          さようなら、僕の『レーザー』

          フライス盤やダイサーのような機械加工装置に寿命があるように、レーザ発振器にも寿命が存在する。 その寿命が尽きる瞬間に運良く立ち会える、お客様という共通のライバルに立ち向かってきた戦友を失った気持ちになる。 一緒に自爆して敵機もろとも塵になるつもりだったのに、コックピットを開けて下ろしてくれたサンドロックをお見送りする御曹司の気持ちである。 メンテナンスをしっかりしたレーザ発振器の寿命はだいたい6-8年くらいであるが、ご長寿さんは20年30年と活躍し続けてくれる。 モデルチェ

          さようなら、僕の『レーザー』

          焦点深度ハラスメント

          「焦点深度」もまた、時間を止めて、その場の空気を止めるワードである。 そして当然ながら刻なんて見えないで、ただただはてなマークだけが見えるだけである。 レーザを扱い始めて自分で焦点だしができるようになった辺りで、新呪文の「焦点深度」を受けることになる。 焦点だしが終わったと報告しに行ったら「焦点深度は?」と、マホカンタの様にカウンターが返ってくるのである。 「あんたが焦点だしをしろというから、焦点だしが完了したと報告しにきたのだ!」と、逆ギレしたいが「焦点深度」の意味を分かっ

          焦点深度ハラスメント

          『レーザー』大切断

          浪漫世界におけるレーザ兵器は、当たった瞬間に爆薬に当たったのかと思うような爆発をするタイプと、新井赤空先生が打った名刀かと思うほどにスパスパとモノもヒトも切れるタイプの2つの異なる描写がある。 爆発したり切断したりが選択的にできたらレーザって便利だよなと、改めて思ったりするわけだが、実際に選択的に用途を変えられるからレーザは面白い。 今回は名刀にも引けをとらない切れ味を誇るレーザについて、重度の中二病を患ったはねいぬが妄想していく。 スパスパ切れる名刀のようなレーザと言った

          『レーザー』大切断

          アブレーション加工、産業へ

          はねいぬの「アブレーション」の定義は完全非熱加工であること、というひき逃げから繋がるのが本記事である。 非熱加工はどんな加工になるだろうか。 熱での加工でなければ、切断でも穴あけでも表面除去でも良いが、溶接や溶融は含まれない。 共通しているのは、昇華もしくは分子結合の破断、そして原子の破壊である。 完全なる「アブレーション」は、文字通り熱を使わない加工なのである。 以上がはねいぬの「アブレーション」の定義であるが、果たして「完全なアブレーション」だけの加工は存在するのかが、

          アブレーション加工、産業へ

          アブレーション? 時間よ、止まれ

          パルス幅がナノ秒くらいの短パルスレーザを使い始めると、先輩達が自然に口にするが全くもって初めましてなワードの1つは「アブレーション」であろう。 レーザに触れた経験の少ない人に向けて使うと、高い確率で時間が止まり刻も見えず、次にすべきことも見えなくなる。 そんな時間を止めて、刻も見えない状況を幾度も経験してきたのに、「アブレーション」という謎ワードが使い続けられているのは、このワードが使い勝手が良いからにほかならない。 なぜに使い勝手が良いのかというと、この「アブレーション」

          アブレーション? 時間よ、止まれ

          ロングレンジ・ビーム・ライフル 現実と夢想

          震える山で忘れることができないのは、青き鬼神、倍返し、そしてロングレンジビームライフルなのは明白だ。 病院船を撃ち落としたり、ラスボスのアプサラスIIIに大ダメージを与えたりと、高出力ビームライフルの長距離狙撃の効果をまざまざ見せつけられた。 このほかにも標準的なビームライフルで10kmほどの距離からの精密射撃を成功させるなど、ビームライフルの長距離射撃性能はデューク東郷顔負けである。 はねいぬは、おかげさまで思いっきり本作の沼にはまり、重度の中二病を患うことになった。

          ロングレンジ・ビーム・ライフル 現実と夢想