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手の込んだお年玉
「これ皆さんにお年玉です」
先週木曜日の朝、いつものように作業所に行くと、正直ちょっと苦手な男性利用者さんが、そう言ってポチ袋を渡してきた。
いったい何なのだろう。少し戸惑いながらポチ袋の底を触ってみた。すると右手の人差し指が、小さな塊のような物に触れたのが分かった。
思い切ってポチ袋を開けてみる。
「えっ、すごーい!」
ポチ袋から出てきた物を触った瞬間、思わずそう叫んでいた。
そこにはリボンがついてキーホルダーのようになった5円玉が一つ入っていた。
「これわざわざ作ってくださったのですか?」
「はい。皆さんにご縁がありますようにっていう気持ちを込めて…。小銭に困ったら使って」
利用者さんからの手の込んだお年玉に、それまで癖が強くてなんとなく苦手だと思っていた男性利用者さんが、実はとても几帳面でお茶目な人だったんだなあと分かり、ほんの少し暖かい気持ちになった。
ちなみにその5円玉は、今もポチ袋に入れたまま財布の中にしまってある。でもこの5円玉は、小銭に困ってもきっともったいなくて使えないと思う。