痴漢は犯罪です
痴漢抑止バッジなる物の効果がすごいらしい。
「痴漢は犯罪です。私たちは泣き寝入りしません」と書かれた缶バッジを、埼京線で通学している女子高生たちにつけてもらったところ、94.3パーセントの人が、その効果を実感していると、最近ネットニュースの記事やラジオで聞いた。
学生ではない全盲の私でも、このバッジは欲しいと思った。
というのも私自身も過去に痴漢被害を受けたことがあったからだ。
まだ仕事に出られていた20代の頃、通勤中のバスの中で、大声で独り言を喋っている、何等かの障碍を持つおじさんとよく一緒になった。
痴漢されたのはその人からだった。
仕事からの帰り、二人掛けの席の窓側に座っていると、そのおじさんが隣に座ってきた。
全盲でも喋る声でその人だと分かった。
その時の詳しい状況を書きたかったのだが、何だか胸がドキドキしてきたのでやめた。
もうずいぶん前の話なのに、まだトラウマとして残っている自分に改めて驚いている。
まあそんなわけで、とにかく痴漢行為は怖かったし気持ち悪かった。
それまでの自分は、もし痴漢にあった時は、持っている白杖(はくじょう)で相手をぶん殴ってやればいいと強気に構えていた。
しかし実際に被害にあってみると、情けないぐらい何もできなかった。声さえも出せなかった。
自分は本当に痴漢を甘く見ていたと深く反省した。
何よりも腹立たしくて許せなかったのは、痴漢の加害者が障碍当事者だったことだ。
バスの営業所に電話して被害を報告した時に、「被害届出しますか?」と聞かれたのだけれど、加害者が障碍者だと分かると、警察はあまり動いてくれないことを知っていたし、被害届を出したとして、こんどはその加害者の両親や支援者から逆に自分が責められるんじゃないかと思うと、その方が厄介だったので、その時は被害届を出さなかった。
ただ私が営業所に痴漢被害を報告したからなのか、以来そのおじさんはバスに乗ってこなくなった。
冒頭のネットニュースやラジオでも言っていたのだが、痴漢加害者に「抑止バッジをつけている人にも痴漢するか」と尋ねたところ、「嫌がっている人にはしない」と答えたそうだ。
さらに痴漢加害者は、痴漢しやすそうな人を常に探して狙っているのだそうだ。
「痴漢は犯罪です。私たちは泣き寝入りしません」と私たちも常にそう表明していれば、バスや電車の中で、怖い目にあうリスクが少しでも軽減されるかもしれない。
この痴漢抑制バッジは、学生さんたちだけではなく、一人で公共交通機関を利用する機会が多い障碍者たちにも、もっと広がってほしいなあと思う。
私自身本気で購入を考えている。
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