それもしかして母校じゃないだろうなあ～校歌の謎と疑念～

　皆さんは母校の校歌は好きだろうか。それとも嫌いだろうか。
　幼稚部から高等部普通科までの１５年間を地元の盲学校(現在は視覚特別支援学校)に通っていた私は、どちらかというと母校の校歌はあまり好きではなかった。
　それは母校にあまり良い思い出がなかったからというのもある。だがそれよりも、一般の小学校に通っていた姉や妹から「あんたの学校の校歌暗いよね」と言われて、子供ながらに大変ショックを受けたからだ。
　確かに彼女たちが通う小学校の校歌は、とても明るくて爽やかな曲だった。それに比べて盲学校の校歌はどうだろう。爽やかさの欠片を微塵も感じないほどお堅いのだ。それは彼女たちが言うように暗い校歌だったと思う。
　それ以来母校の校歌にずっとコンプレックスを抱いている。
　そうこれが小学生の時だけならまだよかったのだ。しかしその後もずっと同じ盲学校だったために、結果１５年もお堅くて暗い校歌とつきあうはめになった。
　そういう意味でも、小・中・高とそれぞれ違う学校に通える健常者の姉や妹が本当に羨ましかった。私が小学生だった３０年ほど前は、まだ今みたいに統合教育という物があまり盛んではなかったから。

　それから時は流れて、今から数年前だっただろうか。
　mixiで繋がったオンライン上の友人から、全国の盲学校の校歌を収録したレコードを聞いたというような話を聞いた。そしてその中に１曲だけ単調な校歌があったとも…。
　それもしかして母校じゃないだろうなあと疑念を覚え、早速ユーチューブで全国の盲学校の校歌を検索してみた。
　しかし私が見た限り、盲学校の校歌でヒットしたのは沼津盲学校と群馬盲学校だけだった。
　話がだいぶ前後してしまうが、地元の盲学校を卒業した後、音楽の勉強をするために３年間通うことになるもう一つの母校、京都府立盲学校の校歌と合わせても、地元の盲学校以外の３校の校歌はどれも明るかった。
　いったい単調な校歌を持つ盲学校とはどこなのだろうか。今だに謎である。

　なぜ今またそんなことを思い出したのか。
　それは先週末、母校の小学部で一緒だったSくんから何年かぶりにメッセンジャーが届いたのだ。
　たわいのない話から始まり、当時お世話になった先生たちの近況などやり取りを続けるうちに、いつしか母校の校歌の話になった。
　どうやら彼は母校の校歌や、卒業式で歌われていた式歌が懐かしくなったようで、それこそユーチューブで調べてみたのだが、案の定見つからなかったと言う。
　そんな話の流れで、友人が聞いた単調な校歌のことを再び思い出したのだ。そしてその校歌は、もしかしたら母校じゃないだろうなあという、何の根拠も無い疑念も…。
　もうこうなったら全国の盲学校の校歌を収録した音源を、どうにかして入手するしかないだろう。もう少し生活や心に余裕ができてきたら、何とかして探してみるか。単調な校歌の謎と疑念を晴らすためにも。