火の用心の拍子木
一昨日の夜、スピッツの草野さんのラジオを聞いていたら、どこからか「かち、かち」と普段あまり聞き慣れないような音が聞こえてきた。
最初それは廊下からの音だと思っていた。しかし廊下の音にしてはずいぶん遠いなあとも感じる。
よくよく聞いてみると、その音は外からの音のようだった。
「かち、かち」という木を合わせるような音に聞き覚えがある。
そうだ、あれは拍子木の音である。子供の頃、冬になるとよく来ていた「火の用心」が回って来ているのだ。
私が子供の頃、冬になると町内の子供達が拍子木を鳴らして「火の用心、マッチ1本火事の元」と言いながら近所を回っていた。
そんな火の用心の拍子木の音がおもしろくて、積み木を拍子木に見立てて、妹と二人で近所を回る子供達の真似をして家の中を練り歩く「火の用心ごっこ」なる遊びをよくしていた記憶がある。
その後いつしか火の用心の子供達は来なくなっていた。
あれから約30年。久しぶりに火の用心の拍子木を聞いた。でもここでの火の用心は、「かち、かち」という拍子木の音だけで、「火の用心、マッチ1本火事の元」という声は聞こえてこなかった。
今の時代夜に喋りながら歩くのは近所迷惑になるからだろうか。それとも今はマッチで火をつける機会があまりないからだろうか。
いずれにしても懐かしかった。
少し前にはチャルメラが通ったりと、このまちにいると最近ではあまり聞かれなくなった懐かしい音がいろいろと聞こえてくるのが良いなあ。その懐かしさに気持ちがほっと癒されるのだ。
*追記
昨夜回ってきた火の用心は、「マッチ1本火事の元」と大人の男性たちの声で言っていた。どうやら回ってくる人たちによって違うのかもしれない。そういったところもおもしろいなあと思う。