Genomic analysis reveals a cryptic pangolin species
https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2304096120
本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?
現在確認されているコウモリの種は8つですが、香港で押収された2つのミトコンドリアハプロタイプは既知のどのコウモリ種にも該当しないとの過去の研究から、新種の存在が示唆されています。本研究の主な問いは、「その新種の存在をスケール(鱗)の特性や全ゲノム解析によって立証し、正式に新種として認定できるのか」ということです。
本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?
本研究の目的は、コウモリの新種であると示唆されている種の存在を立証し、新種として正式に認定することです。その独自性と創造性は、スケールの特性分析と全ゲノム解析を組み合わせ、新種のコウモリを発見し、その分類を決定するという手法にあります。これにより、コウモリの多様性と進化についての現在の知識が大幅に拡大されます。
本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?
コウモリは世界で最も多様性に富む哺乳類の一つであり、保全に対する関心も高まりつつあります。しかし、かつて香港で押収されたコウモリのミトコンドリアハプロタイプが、既知のどのコウモリ種にも一致しないという事実から、新種の存在が示唆されたという経緯があります。本研究は、この新種の存在を立証し、新たな生物学的知識を提供することで、コウモリの生物多様性と進化に関する研究の一部となります。
本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?
本研究では、コウモリの新種を特定するために、スケールの特性と全ゲノム解析を行いました。この結果、この新種はアジアのコウモリに属することが明確に示されました。また、この新種の全ゲノムデータは、これが以前に認識されていた種とは異なるコウモリの種であることを強く示しています。さらに、この新種は500万年以上前にフィリピンコウモリとマレーコウモリから分化したことが確認されました。
本研究の有効性はどのように検証した?
本研究の有効性は、全ゲノム解析とスケールの特性で検証されました。これにより、この新種がアジアのコウモリに属すること、またそれが以前に認識されていた種とは異なることが明確に示され、新たなコウモリの種としての正式な認定の根拠を提供しました。