ランボウ(処方) 怒りの老眼
メガネに限らず「処方」と言うものは理論もさじ加減も処方する人の考えで大きく変わると思っています。要は検者と患者の合う合わないは必ずあると思っています。ハンサムは(性格的に)クセが強いので、抱えている顧客の数がソレを物語っている。店長じゃないので今のところソレで良いんです。
で、この相性の話はメガネ屋だけではなく、眼科にも言えます。
眼鏡の処方において権威と謳われる眼科もいくつかありますが、レジェンドと言われる名眼科医でも、合わない方は少なからずいます。先日ハンサムが対応したお客様はレジェンドの処方に満足が行かない様子でした。
お客様は両目とも遠視かつ「不同視」という状態でした。左右の度が違いすぎてピントが合わない状態のことを言います。通常8段階の度数差で不同視になるんですが、その方は16段階の左右差なので到底メガネで矯正出来ません。先ずは左右の歪みの差が出にくいコンタクトレンズで左右バランス整えましょう。ここまではOKです。ハンサムが眼科にいた時も同じこと言うと思います。
老眼もあるから手元がバッチリ見やすいコンタクトレンズにしましょう。でも遠近両用コンタクトレンズでは慣れにくいので、装着すると+2.00の老眼鏡をかけているくらいの度数にしましょう。遠くが見ずらい時はメガネで補填しましょう。
まてまてまて。
裸眼視力がそこそこある人に、裸眼視力以下になる常用コンタクトを着けさせた挙げ句、メガネで後追いってどう言うことだ。眼鏡の履歴と検眼結果見て愕然とした。新人検査員がお客様の言う通りに作った、と言うなら分かるが、これがレジェンドの処方というもんだからなおさらビックリですよ。レジェンド曰く「視力の上げすぎは良くない」と。そうは言ったって下げすぎも問題でしょうよ。日頃から雲霧かけておこうね、が患者に伝わってればまだしも伝わっていない。そもそも理論を相当理解していないと無理でしょ。雲霧って言葉知らない人の方が圧倒的でしょ?皆さん雲霧って知ってます?なんて読むか分かります?
という無茶処方にイライラしてたのが先日ありまして。昔作って放置していた老眼鏡を引っ張りだしたんですね。
外斜視と老眼のハイブリッド老眼のハンサム。裸眼視力は1.5ですがこの老眼鏡をかけると視力0.6まで落ちます。加えてSwitchでゼルダやりすぎハンサムの眼は眼痛を伴う眼精疲労マッハ。お客様に説教する前に自分をどうにかせぇよ、と。このままだとヤバいぞと。そんな時、先述のお客様のことを思い出し、ならば同じ様に過ごしてみよう。そう思い立ち、仕事以外を老眼鏡で過ごしてみました。
結果から言いますと、
すごく良い。楽。眼痛も消えた。慢性的な目の重さも消えた。最高。これでゼルダが捗るぜヒャッホウ。ただし慣れるのに3日くらいかかりました。ハンサムは目の筋力(調節力)オバケなのでピント合わせ能力、眼球内のオートフォーカス能力が超高性能なんです。視力を筋力(物理)で解決しようとします、「無意識に」。これを幼少期にやりすぎるとド近眼になります。注意。なのでSwitchとスマホ以外を見るときに「意識的に」ピントをボヤかせる様にしなければいけません。
見ようとしない。
すごく難しいです。眼筋は随意筋であり、自律神経系ではありません。ですが、意識してピントを合わせるってやってないじゃないですか。「今スマホ見てるからピント25cmくらいだな」とか「車内の吊り広告2m先くらいかな」なんて考えながらモノを見ないじゃないですか。人間は赤子の頃から訓練した反射反応でものを見ています。40年以上やってきた当たり前を矯正。かなり難しいです。
老眼鏡かけっぱなし生活、メガネ屋さんとして、理論を理解して使ったとしても慣れるまでに時間がかかります。
「テレビで+1.00の既成老眼鏡を日頃からかけていると目に良いらしいって言ってた!」
なんてたまにお客様から言われることもありますが、危険です。メガネの目的は視力を出すだけではありません。左右のバランスを正しくさせ、疲れにくくさせるという目的もかなり大きいです。自身の視力は何となく知っていても、左右差に関して、乱視とは、どのくらいの眼精疲労か、調べなければわからないと思います。ハンサム自身ですら今現在の自分の視力や度数を視力検査無しの上、100点満点の精度で数値化するのは無理です。
眼科に行ったことある人は「運動不足は良くないですね」と言われたことはあっても「目の体操をしましょう」は言われたこと無いと思うんです。トレーニング効果より眼精疲労が上回る年齢にはムチ打つだけです。
「Aをすると目に良い。」
は正しいかも知れませんが言葉が足りません。
「AをすることによりBやCの効果が生まれDとなり目に良いが、Eに注意しましょう。」
こんな情報がテレビには溢れています。まさか眼科医から聞くとは思いませんでしたが。餅は餅屋。専門家に相談し、合わない時にはセカンドオピニオン。どんなに有名な眼科でも、著名なメガネ屋でも。合わないものは合わない。
皆様が良いメガネと良い眼鏡士に出会えます様に。
また来年。
あ、時事通信社の色覚特性連載記事、応援ありがとうございます!皆も読んでね!