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訪問介護を知ってほしい(生活援助・調理)


手から暮らしを見守るセラピスト介護士「三浦かおり」です。株式会社みうら不動産 見守り事業部に所属し、日々活動中です。

本日は、訪問介護の生活援助(調理)について書いてみたいと思います。


訪問介護での現場時代

訪問介護には身体介護と生活援助の支援がありますが、常勤ヘルパーですと一日に7件程度訪問する日もあり、各お宅へ移動し、朝のオムツ交換、朝食作り→車移動し、掃除、買い物、昼食作り、入浴、昼のオムツ交換、移動介助、清拭等々。また、夕食作り・・と一日が目まぐるしく回ります。サービス内容、移動距離も様々です。

それが日ごとで月シフトになり、同じ動きばかりではないですし、新規の利用者や入退院などが合わさり、日々変化があります。

私は常勤ヘルパーを3年勤め、介護福祉士国家試験をえて、サービス提供責任者の職務についたので、現場と指導の両方の立場を経験しました。

調理の壁

自分自身はもともと調理が好きだったので、利用者の家で調理をすることにあまり抵抗はありませんでした。

ただ、自分の好む味と利用者それぞれが好む味、調理形態も違うので、かなり戸惑いを感じることがありました。

塩分、糖分、脂質の制限はもちろん、柔らかさやとろみの有無もあり、ただの調理というイメージより、はるかにデリケートなサービスなのです。命が掛かっているとも言えます。

他人の家の冷蔵庫は恐ろしい

決まった時間に行き、利用者に挨拶、体調確認をしてからサービスに入ります。その次に冷蔵庫を開けるところから、調理のサービスが始まります。

いざ、開けてみて・・その材料を眺め、考え、調理をする。
毎日サービスを利用している方に関しては、申し送りなどで昨日食べたもの、一昨日食べたものを確認し、被らないように作るようにします。

冷蔵庫内で傷んでいるもの、本来は冷蔵庫に入れなくていいもの、逆に入れずに常温で腐っているもの、それらを利用者へお伝えしながら処分するのも利用者の安全確保に必要なことです。

冷蔵庫を開け、瞬時に3品程度の調理をイメージし、決められた時間で作る。体調確認や訪問記録をとる時間、片づけをする時間を差し引くと実質40分程度で作れるとベストでした。

ヘルパーは敬遠する

私が勤務した事業所では年配のベテランヘルパーさんは調理のサービスを好み、手際よい方が多くいました。ただ、調理が苦手という方や若いママなどはなかなかサービスに慣れるまで大変そうでした。

その為、社内研修で調理実習を取り入れたこともあります。介護事業所の業務の幅の広さを感じますよね。事業所の母体が教育に熱心な企業だったこともあり、近隣のコミュニティセンターの調理室を借りて食材を用意し実施しました。

しかし、それでも数名のヘルパーが出入りする利用者側では、「あの人の作るのは美味しいけど、今度来た人は雑で美味しくない」などと言う方もいるのが現実。暗に担当替えをすることもしばしば。

ですから、ヘルパーさんは「注文の多い調理のサービスより、時間給の高い身体介護に入りたい」と希望する方も出てくるのです。

割り切りと丁寧さ

はっきり言ってしまうと、どこまでやるか、どこまでやれるか。これは最初のサービス計画に掛かっています。ヘルパーは調理師ではないし、栄養士でもない。必要最低限の調理をするだけ。ハードルを最初にあげすぎてはいけないと思っています。

冷凍ストックを活用したり、同じ訪問先のヘルパーが申し送りをし、チームで工夫することで負担軽減する部分も見えてきます。責任者の関わりが大きいのは特に感じます。

ただ調理しに行っているのではない

しかし、調理に集中するだけが仕事ではない・・のがヘルパーの大変なところ。
1対1(ご夫婦であれば2対1)の環境にいるヘルパーは、料理の味だけでなく、訪問中の利用者にも気を配らなければなりません。

☆認知症があって徘徊しに行くかもしれない。
☆体調が悪くなり倒れているかもしれない。
☆トイレへ行き転倒しているかもしれない。

調理をしながら利用者の気配を感じていなければならないのです。

施設勤務の介護士と比べ、どうでしょう。
決められた人員と建物で、備品がしっかりある状況で働く施設勤務の介護士と違い、各家庭の様々な違いを認識し、1対1の環境で命を守り働く訪問介護員。どちらがどうという訳ではないですが、スキルの違いはあります。

身体介護、生活援助を時間で区切り、移動をし、行っているわけです。

訪問介護の基本報酬引き下げは妥当ですか?

なかなか現場のことは経験しないと知られないので敢えて書きました。


ちなみに年末年始は?

年末年始も調理のサービスがあるお宅もありますが、ヘルパーは日常の調理のみを行うことが前提なので、お節料理や年越しそばを作ってはいけないということになっています。また、一緒に食べるということも「話し相手」という介護保険外サービスに該当するので禁止となっています。


私が訪問介護の調理のサービスで得たもの

〇普段の家事スピードが格段に上がった。
〇自分の家の冷蔵庫は何があるか分かるので、献立を考えるのが楽になった。
〇健康に気を配った食事つくりを意識するようになった。
〇利用者から教わった調理の豆知識が役に立っている。
〇生きる上で必要な食べるということを身をもって習得できた。


訪問介護の現場実習を学校教育にも取り入れてもらいたい…と感じている今日この頃であります。

最後までお読みいただきありがとうございます。共感された方はスキをタップして頂けると励みになります。 

次回はオムツ交換について書いてみます。




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