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組織に属しても自分のカラーでいられる 中途で入ったフリーランス建築家が感じた “チームで働くメリット”

「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」
政治家などの演説などでも度々口に出されるこのことわざ。HandiHouse projectも、まさにこの言葉の重みを日々の家づくりから感じています。

設計から施工まで自分たちで行う建築家集団HandiHouse project。メンバーの働き方は様々。個人事業主で普段は一人で活動をするメンバーも所属しています。
中には、独立後しばらくは一人で建築の仕事をしながらも、仲間がいないと立ち向かえない壁を感じて入ってくるメンバーも。今回は、建築業界で経験を積んだ後、HandiHouse projectに入った3人に、どんな思いを持って加入したのかを聞いてみました。

髙橋司(たかはし つかさ)※写真左
大学卒業後、建築内装の会社で施工管理(現場監督)として店舗・ホテル・保育園などをつくる経験を積む。2022年独立。同年、その場所を使う人たちと一緒に空間づくりをすることに魅力を感じてHandiHouse projectに参画。自分の手で自分の空間づくりをすることこそが大切という思いがあり、世界中に同じマインドをもった仲間を増やしていきたいと考えている。

秋山 直也(あきやま なおや)※写真右
紡ぎ舎 代表。一級建築士。大学卒業後、建設会社で大工の修行を積む。プロジェクトオーナー(施主)さんと一緒にものづくりをしたい思いが募り、2021年 Handihouse project 参画。翌年独立し、「紡ぎ舎」設立。大工の技量を生かし、オーナーさんはもちろん、自分自身も納得のいくものをつくり上げるため、丁寧な設計施工を心掛けている。

宮園 孝都(みやぞの たかと)※写真中央
綴組 代表。一級建築施工管理技士。大学院を卒業後、建設会社に入社。ハンディの創業メンバー荒木、中田とは建設会社時代の同僚。全国各地で店舗や住宅の設計施工に携わる“旅する工務店”として活動中。2021年から、関東と鹿児島の2拠点生活を開始。同年、HandiHouse projectに参画。

HandiHouse project(ハンディハウスプロジェクト)※以下ハンディ
設計から施工まで、すべて自分たちで行う建築家集団。「どんな家にしようか」という最初の妄想からつくる過程まで、“施主参加型”の家づくりを提案。合言葉は「妄想から打ち上げまで」普段は別々の現場で活動をしているが、一人でできないプロジェクトはチームを組んで取り組んでいる。

聞き手 石垣藍子(いしがき あいこ)
HandiHouse projectの広報を担当する。フリーランスで企業や団体の広報PR、ライターの仕事をしている。自身の家は、HandiHouse projectと一緒に住みながら改修し、暮らしの楽しみ方を追求している。

現場監督をしながら感じた違和感 建物は使う人の手でつくってこそ良いものになる

ーー司さんは、前職は主に店舗内装工事の現場監督をしていたと聞きました。

司:そうですね。前職はチェーンの飲食店の内装や、商業ビルの店舗などの現場監督をしていました。

ーーもともとそういった仕事を希望していたんですか?

司:大学は建築学科でしたし、学生時代からものをつくるのは好きで。自宅の家具などを自分でつくったりしていました。ただ、将来こういう建築家になりたいとか、そういった目標はなく、何となく建築のデザインとかができたらいいなと思って就職した会社だったのですが…。

インターネットでハンディの記事を見つけて応募した髙橋 司

ーー実際に仕事をしてみてどうでしたか?

司:そうですね。正直なところ、思っていた仕事とは違いました。デザインをする人を募集していたので応募したのですが、まずは現場監督として経験を積むように言われました。与えられた図面を見て、現場の職人さんにこうしてくださいって指示を出して。実際につくるところは他の人にやってもらっていたので、なかなか自分自身が物づくりをやっているっていう感覚を持てなかったんですよね。本来は、こういったことをやりたかったわけじゃないと思いながらも、日々忙殺されながら勤めていました。

ーー忙しい仕事だったんですね。

司:とにかく激務で。辞めようとか考える余裕もないくらい、次から次へと担当の現場が決まって回していたので。

ーー5年後、退職して独立をしたんですね。

司:ひとまず辞めてフラフラしていたときに、母が飲食店を開く機会に恵まれ、その店舗内装を自分たちですることになったんです。それがハンディに入るきっかけにもなって。

ーーハンディに入るきっかけですか?

司:僕と母と姉で店舗づくりを始めたのですが、とにかく大変で。建築経験者は僕一人でしたし。あぁ、誰か手伝ってくれる人いないかなぁと思ってネットで探していたら、ハンディの記事がヒットして。これだ!って思いました。

母のお店を自分の手でつくる中で大変さを痛感した経験が、一緒につくる仲間を探す原動力となった。
完成した、髙橋司の母が経営する飲食店。

ーーハンディのような企業形態ってあまりありませんし、得体のしれない怪しげな集団にも見えると思うのですが、どこに魅力を感じたんですか?

司:ハンディのホームページに書いてあったビジョン、そのほとんどに共感したんですよね。誰のために、何のためにつくっているのかっていう言葉。僕も同じことを考えていました。

HandiHouse projectが始まったのは、それぞれ設計や施工の仕事に携わっていたメンバーが一様に抱いていた「私たちは、誰のために、何をつくっているんだろう?」という疑問がきっかけでした。
細かく分業化され、受身受身で作業をこなさざるを得ないつくり手たち。ただただ工期に追われながら仕事が進み、精魂込めて仕上げた空間を喜んでくれる住まい手の顔を見ることもない。そんな家づくりは、果たして「いい家づくり」なのだろうか。

ハンディのVISIONの一部を抜粋:公式サイトより
ハンディの運営は、毎月のメンバーが納める会費などで支えられている。新しい考えを取り入れたり組織をアップデートしていくために、毎年活動方針は全員で話し合うスタイルをとっている。

司:会社勤めのときは、完成した日に初めてお客さんが現場に来ることが多かったんです。

秋山:初めましての方が感想を言い合う時間だね。

司:そう。つくるプロセスを見ていなかったり、どうしてこういった空間になったのか細かいところは伝えずに結果だけを見るので、お客さんが良い反応だったことがあまりなくて…。

ーーおぉ、それはきついですね。

司:個人ではなく会社経営の店舗だと、お客さん自身も仕事の一環で見に来ているので、仕方がないんですけどね。

秋山:お客さんも悪気はないよね。

司:2次、3次請けの現場もあったので、そうなると、お客さんはますます誰がどんなふうにつくっているのかを気にしなくなっていって。
そんな中で感じたんですよね。やっぱりお店や家を使う人が、ちゃんと自分でどんな空間にしたいのかを考えて自分の手でつくったほうが、きっと建物や空間を大事にして長持ちするだろうなって。自分が住む場所や自分が使うものは、自分でつくった方がいい。それをもっといろんな人が知ってくれればいいなと思っています。

ーーそんな思いを持って、ハンディのメンバーに応募してくれたんですね。

設計から施工まで 家づくりのすべてがわかる建築家に

ーー宮園さんは今日は長崎から参加してくれています。鹿児島と神奈川の二拠点生活を続けていますが、鹿児島にはこだわりがあったんですか?

宮園:生まれ育った鹿児島に30歳くらいになったら帰ることは、なんとなく上京するときから決めていたんですよね。

鹿児島と神奈川の二拠点生活を送る宮園。九州エリアのプロジェクトも多く手掛けている。この日は、長崎県の対馬から。

ーー最初に入った建設会社は、ハンディメンバーの中田さんと荒木さんと出会った場でもありましたね。

宮園:そうです。同い年ですが、僕が遅れて入社したので彼らの後輩でした。そこで現場監督を担当しました。大学院で設計を学んでいたこともあって、有名な設計事務所や著名な建築家のもとで働きながらさらに学びたいと思っていたのですが、当時地方の大学を出た人が都内の有名事務所で雇ってもらうのは狭き門で。結果、著名な建築家が設計したものを建設している会社に入ることができて。一流の人たちの図面を見ることができる上に、出来上がっていく様子も見られることを考えたら、こっちの方が楽しそうだなって思って入社しました。

ーーその後、3年ほどで辞めて鹿児島に戻ったんですね。

宮園:そうですね。一つの建物に携わると、1年から1年半ぐらいは完成までにかかるのですが、当時担当していた建築は、大きめのマンションや外国人の別荘などが多かったので。そうなると、完成まで4、5年かかってしまう。30歳までに鹿児島へUターンすることは決めていたので、ちょうどいい時期でした。

ーー鹿児島に戻ってからは、設計事務所で働いたんですね。

宮園:個人の住宅をメインにつくっている設計事務所で。設計やデザインから、工事の現場監督まで全部やっている会社でした。都内の建設会社に勤めていた3年間、図面を自分で書いてこなかったので、また一から勉強しました。設計業務を自分でできて、現場監督もできる面白さを経験できて。分業ではなくて図面を書いた人が現場で職人さんに伝えられるのは一つの強みになりましたね。

ーー司さん、宮園さん、お二人の話を聞いていると、改めて建設現場って分業が普通なんですね。ハンディが設計から施工までの全てを一人のメンバーが担当している形態は珍しいことだとよくわかります。

宮園:そうですね。基本的には、建設会社に現場監督がいて、設計事務所には設計士がいて、職人さんはそれぞれの会社に所属していて。あらゆるものが分業されていますね。

ーー秋山さんも建設会社勤務でしたが、どんな仕事をしていたんですか?

秋山:僕は大工でした。お客さんには、設計士から職人まで顔を知ってもらうことを大切にしている会社で、大工の僕もお客さんと触れ合う機会はありました。でも、大工としてしかお客さんと接する機会がないことにモヤモヤしていて。

ーーモヤモヤ…。大工は希望して担当したんですか?

秋山:自分で大工をやりたいと言って配属されました。それはとても嬉しかったですしやりがいもありましたが、お客さんとは施工の部分だけではなくて、設計から施工まで全てにおいて関わりたいと思ったので、ハンディに興味がわきました。

オーナーさん家族と施工を楽しむ秋山。ハンディに入ってからは設計から施工まで全て自分で手掛けている。

ーー若手メンバーからは、宮園さんと一緒の現場は施工の勉強になるってよく聞きます。割と施工をメインでやることが多いですか?

宮園:基本的には設計から施工まで全部やっています。今は、どんどん領域を広げていっていて。職人さんの仕事を見てかっこいいなと思い始めたときに、職人さんたちからも教わりながら技術も身につけていったり。建築に関して一通りのことは僕に相談したら解決すると思ってもらえるようになってきたときに、独立しました。

独立して全てを一人で担当してきた宮園。

一人でもできるけど仲間がほしいと思った ハンディの魅力とは

ーー皆さん一人でも、職人さんたちの手を借りながら自分で家やお店をつくれちゃいそうですが、敢えて仲間が欲しいと思ったのはどうしてだったんですか?

司:僕は先ほどお話した、母の店をつくっているときに、一人だとわからないことを教えてもらったり、助けてもらうことができなかったり、うまくいかないことばっかりだなって痛感したんですよね。建築といってもデザインから構造まで幅広いので、まだまだ学びたい部分も多かったですし。

秋山:ハンディは、一言に建築業界といっても多様な分野で経験を積んできた先輩たちがたくさんいます。設計やデザインでも個性があるので、こういう場合はこの人に聞いてみようと相談できて。施工がうまい先輩もいますし、断熱住宅に詳しい先輩も。役所関係への申請書一つをとっても様々で、経験がある人に教えてもらえる。その時々に、相談したい人に気軽に相談できる環境にいるのは、本当にありがたいです。

月に一度行われる勉強会「ハンディ会」設計や施工についてのみならず、商業施設など特殊な建築物での法律や手続きについても担当したメンバーから学ぶ。この日は大石が担当したオフィスにお邪魔して開催された。
ハンディに問い合わせをくれるオーナーさんの多くは、家づくりを一緒に楽しみたいという方が多い。そんなオーナーさんと出会える環境にいられることも所属する価値があると秋山は話す。

ーーハンディに入ってから特に楽しかったプロジェクトはありますか?

司:うーん、どれも楽しかったですが、やっぱりみんなでつくったっていう意味で心に残っているのは、虎の門のプロジェクトですね。

大石を中心に同世代のメンバーが集結してつくり上げた虎の門ヒルズの「ovgo Baker BBB」写真は、HandiLaboで仮組みをする様子。髙橋にとって仲間がいる喜びを感じた心に残るプロジェクト。

司:僕が現場監督をしていた頃は、虎の門ヒルズのような商業ビルのお店を担当することが多かったんです。あの頃と似たような現場に、ハンディの同世代の仲間と一緒にいるのがなんだか変な感じがして面白かった。

秋山:地下だったので窓はないし日光が入らないので結構過酷な現場でしたけどね。司はこんなところでやってたのかーって思った。

司:当時の大変だったことも、めっちゃ思い出しました(笑)

ーーメンバーが変われば、楽しい現場になるんですね。

司:ほんとそうですね。担当した大石さんはめちゃくちゃ大変だったと思いますが…。

秋山:司が大活躍だったって聞いたよ。

司:いやいや。隣りの区画で、前職でお世話になった職人さんが何人か出入りしてて、久しぶりの再会があったのも面白かったです。

ーーこんな形で再会(笑)

ーーハンディでは若くして独立しているメンバーも多いですよね。

宮園:ハンディの若い独立メンバーは、結構ラッキーだと思います。職人さんの世界だと、10年勤めてやっと独立するみたいなところがあるのですが、ハンディに入っていれば、誰かが応援要請の連絡をくれるので仕事がなくなることはないですし。さらに希望すれば現場を手伝いながら学べて、お金までもらえる。僕はみんなすごくラッキーだなって思っていて。良い機会を自分で作れるし学べる。かつ収入があるっていうのは最高ですよね。

ーー司さん、いろんな現場から呼ばれてますよね。

司:まだ長期で関わるプロジェクトを担当していないこともあって、いろんな現場から呼んでもらっていますね。少し遠くの現場に行くのも好きで、千葉の館山や栃木の佐野の現場も楽しかったです。

宮園:え?じゃあ今長崎の現場だけど来ない?

司:いいんすか?行きたいっす。

加藤と秋山が担当する現場に応援で入る髙橋司。オーナーさんと一緒に家づくりを楽しむ様子。

ーー宮園さんは独立した後も6年間は一人でやっていたんですね。元同僚の中田さんと荒木さんがハンディを創業して活動していることを、どんなふうに見ていましたか。

宮園:すごく楽しそうだなっていうのを外から見ていても感じました。オーナーさんって工事現場には入りづらくて、大工さんや塗装屋さんの顔ってあんまり知らなかったりしますよね。中田くんとか荒木くんが関わることによって、職人さんとオーナーさんの距離を縮めて一緒に建物をつくることができて。しかもニコニコ作業風景の写真を撮っているような和やかな雰囲気がすごく良いなって。

秋山:すごくわかります。僕はメンバーの大石と、もともと勤めていた建設会社で同期だったこともあり、ハンディを知ることができたんですね。大石が先に会社を辞めてハンディに入ったのを見て楽しそうだなって。

オーナーさんと解体現場で写真を撮る荒木(左)と中田裕一(右)。
宮園は独立前も、有休をとってハンディメンバーの現場へ手伝いに行っていた。設計から施工まで自分たちで行うスタイルの勉強にもなったという。写真は、中田裕一(写真右)が担当する新築工事現場に参加した、ハンディに加入前の宮園(写真中央)

宮園:建築現場って色々とトラブルがつきものなので、つくっている最中にこれは一人では間に合わないぞっていうことが多々起きるんですよね。そんなときは、大工さんや塗装屋さんなど、職人さんを探して手を借りるのが一般的だと思うんですけど、ハンディのメンバーだと同僚や仲間のような関係性でお願いできるので、頼むハードルが下がります。大工さんに頼んだら大工仕事しかできないけれど、ハンディの誰かしらを呼べば、大工仕事が終わった後に塗装もお願いできたりもしますし。

ーーハンディの人たち、ほんと何でもできちゃいますもんね。

宮園:気心知れてるから話し相手としてもありがたい存在です。何よりも、オーナーさんと一緒に家づくりを楽しもうっていう姿勢がメンバー間の共通認識としてあるので、途中で参加した人もオーナーさんとフランクに楽しむことができちゃう。協力し合いながらみんなで完成させていこうぜ!みたいなチーム感があるので、一緒に仕事をしていて気持ちがよくて。協力体制の中で助け合いながらつくっていくスタイルがすごく気に入っています。

自分のカラーでいられる 自由度の高さが生み出すクリエイティブ

ーー転職すると、最初は社風や人間関係など慣れるまで大変なところもあると思いますが、ハンディはいかがですか?一般企業だと、会社のカラーやルールがあったりして。ハンディはルールはほとんど無いにせよ、カラーはあったりするのかなって。

司:みんなの雰囲気に馴染まなきゃいけないっていうこと自体がなくてそれがよかったですね。チームに入ったけど、個人事業主として今まで通り自分のやり方でできる。一緒につくるときは相手のやり方を尊重することもありますが、それは建物をつくる上で必要なことなので素直に受け入れられますし。

ーーなるほど。自分のやり方を変えて周りに合わせなくてもいいんですね。

司:そうですね。世の中の個人事業主の方々とおそらく同じで、自分がどれだけやるかを自分で決められる。そういう状態で続けられることがすごくいいですね。

秋山:めっちゃ新しい組織のあり方だよね。

ーーこういう形ってあまりないですよね。宮園さんは1人でやっていた頃の気楽さの一方で、ハンディに入ってからの煩わしさなどはなかったですか?

宮園:特にないですね。なんならもう少し関わりたいくらいです。どうしても九州の現場が多いので、ハンディ会にも参加できないことが多かったり、みんなの現場にも顔を出したいのに出せていないのが悔しい。チームに入って仲間が増えた、友達が増えたみたいな、そんな感覚で。いいことばかりです。

秋山:ベテランメンバーも上司っていう感じでもないですしね。一般の会社とはそこが違うと思います。創業メンバーがそういった雰囲気をつくってくれているおかげもあると思います。僕がハンディのやり方に合わせなきゃいけないとか考えたことは1度もないです。自分のカラーでいられる感じ。

ーー自分のカラーでいられる。すごくいいですね。今後、自分自身がハンディのみんなのためにできることって何だと思いますか?

司:僕は何でもやりますよ。

ーー何でも?(笑)

司:何か取ってきてほしいっていうお願いでも喜んで行きます。例えば埼玉へ行って材料を取ってきてとか。そういった小さなことでも全然行きますよ。

ーー司さんフットワーク軽いですもんね。小さなことでも楽しんでできるところは強みですね。

司:できることあれば何でも!

秋山:僕はハンディメンバーが成長できるようなことにも貢献したいなと思っていますが、創業メンバーなどの先輩たちには僕から何かを教えるとかはできないので。先輩たちの下で働く若いメンバーに、これまで学んできた技術的なことは教えられるかなと思っています。

ーー大工の技術とかですか?

秋山:そうですね。施工や大工関連の技術のことは自信を持って伝えられることはいっぱいあると思うので。

ーー新築の建て方のとき、秋山さんがいたおかげで助かったって創業メンバーも言ってましたよ。

秋山:それは嬉しいですね。そばにいる若手メンバーたちに、口うるさいかなっていうぐらい教えて行こうと思っています。たぶん、既にうるせぇなって思われていますよ(笑)

中田製作所が担当した新築戸建て住宅の建設現場。秋山がこれまで培った新築工事の経験を活かすことができたプロジェクト。(写真奥:秋山)

宮園:僕も秋山くんと同じようなことは考えていますね。若い子たちから応援要請の連絡をくれるのも嬉しくて。そこで作業をしながら教えられることがあったら、僕も積極的に教えたいなって思っています。

ーー特にどんなことを教える機会が多いですか。

宮園:現場作業に関しては全般ですが、資材の運び方とかちょっとしたことなども。ここにこれを置いたら作業の邪魔になるとか、そういった些細なことでも現場にとっては重要だったりするので。僕も口うるさいですよ(笑)

宮園は、九州エリアのオーナーさんとも一緒に家づくりを楽しんでいる。

宮園:これは提案なんですが、今後チャレンジしてみてもいいんじゃないかなって思うことがあって。

ーーなんでしょう?

宮園:ベテランメンバーがある日突然他のメンバーの現場に参加する、みたいなこと。

ーーある日突然。ドッキリですか?(笑)

宮園:いやいや真面目に(笑) 若手の刺激にもなりますし、チームのコミュニケーションが活性化すると思うんですよね。創業当初は、メンバーの4人全員で、ワンルームのマンションなどの工事をしていたんです。くだらない話もしながら作業をして、すごく楽しい時間だったところに僕も時々参加させてもらって。それがハンディの原点ですが、今はベテランメンバーは、個々に会社経営もして従業員もいて。それぞれの仕事が忙しそうなので難しいかもしれませんが、月に1回は誰かの手伝いとして現場に顔を出すっていうのも双方の刺激になるかなと。

創業メンバー4人は、創業当初いつも一緒に現場を担当していた。

ーー横のつながり、大事ですよね。

宮園:そうなんですよね。1人じゃ寂しいから呼んじゃったとかでもいいと思うんですけど。現場で雑談する中で、この人は今こういう仕事してるんだって横の情報がわかると、コミュニケーションが活性化してチームの結束がより強くなるのかなと思って。

そのためには飲み会も増やしてもらって参加したい。

秋山:ぞのさん(宮園)、月1のハンディ会のあとみんなで毎回飲みに行ってますが、ぞのさんが来てないだけですよ!(笑)

宮園:いまは長崎の対馬にいるからなかなか…。そっち戻ったら参加したい!

坂田が担当した「Bistro endroll」ハンディ会で店舗を見学後の楽しいひととき。
年末恒例の忘年会は、HandiLaboで開催される。

ーー今後ハンディでやってみたいことはありますか?

秋山:もっといろんなところにハンディをつくりたいよね。

司:九州支部みたいな。

秋山:そうそう。今ぞのさんが一人九州支部やってくれてるけど。

ーーそのためには、全国でメンバーを募る必要がありますね。ビジョンにも通じるものがあります。

私たちがやりたいことは「家をつくること」ではなく、「住まい手もつくり手も幸せな家づくりの形を、もっともっと世の中に広めていくこと」だから。これからのHandiHouse projectは、ひとつひとつの家づくりを通しての活動も継続しながら、「家づくりを楽しむ文化」も育てていきたいと考えています。子どもたちはこれからの時代を生きる術を学び、大人たちは住まい方の未来を広げていく。「つくる」という行為とスタンスを身につけることは、家づくりだけでなく、そこでの暮らしや、生きることの楽しみにもつながると思っています。
そして、住まい手と一緒に家づくりに取り組むつくり手を全国に増やし、ネットワーク化していくことも、私たちの新たなビジョンのひとつ。つくり手たちがこれからの生業のつくり方と在り方を考え、活躍の場を広げていくための活動も行なっていきます。

ハンディのVISIONの一部を抜粋:公式サイトより

司:僕はシンプルに、メンバー全員でひとつものをつくってみたいです。HandiLaboをつくるときもそんな感じだったんですよね。

秋山:確かにね。

司:ただみんなのスケジュールを合わせるのが難しいかな…。

HandiLaboは初期メンバーの手でつくり上げられた。photo by 佐藤陽一
HandiLabo Photo by Shinkenchiku-sha

司:20部屋くらいあるマンションを建てて、メンバーが1部屋ずつつくるとか。

秋山:それめっちゃいい。楽しそう。どこが一番高値で出せるかを競い合うみたいな。どこが売れ残っちゃうかな(笑) 設計施工をメンバーだけでできちゃうから不可能ではないでしょうね。マンション買いましょう!

ーー代表の加藤さんに言っておきます(笑)

宮園:夢はでっかくだね。小さくても全員参加で何かをつくる機会があったら楽しそうですね。イベント的に1日限りでチャレンジしてみてもいいかも。

ーー面白そう。

秋山:20人いるから、建築にこだわらず何でもできそうですよね。

ーー今後やってみたいことも、仲間がいてこそできることばかりですね。これからも同じ思いを持った仲間を募っていきたいと思います。

取材・文 石垣藍子


HandiHouse projectでは、今回の記事で紹介したメンバーのように、私たちのビジョンに共感し、建築業界で経験を積んだ仲間を募集中!
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