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【常勝の脳】 レスリング 高橋侑希

こんにちは、半田守です。

私は岡山県の山奥で、薪をつくったり、レスリングウエアをつくったりして生活しています。全く違う2つの仕事をしていますが、それぞれに社会的な意義を感じており、仕事を通して充実した毎日を送っています。

今回のnoteでは、先日のレスリング全日本選抜大会で見事連覇を達成し、東京五輪代表をかけた戦いである世界選手権の出場を決めた高橋侑希選手に、何を考えてここまできたのかについてインタビューした内容をまとめてみたいと思います。

高橋侑希選手の主な戦績はこちら。

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高橋侑希選手は、4年前リオデジャネイロ五輪の切符をかけ2015年世界選手権に挑むも、9位という結果で代表権獲得を逃した。再び国内予選に引きずり降ろされることになるが、その後の国内大会では当時成長株であった樋口黎選手が台頭をみせ、アジア予選でそのまま代表権獲得を決めた。同時に高橋選手の五輪への夢が一旦途切れることとなった。

夢見ていた舞台に立てなかったというこれ以上もない挫折を経験した高橋選手だが、何か切り替わったかのようにリオデジャネイロ五輪が過ぎた2016年の天皇杯から連勝を重ね、ついには世界選手権優勝を勝ち取るに至った。その後も国内では負けなしの強さを維持し、ついに4年ぶりに五輪の出場権をかけた世界選手権出場の切符を手にした。

そんな高橋選手に、一人のビジネスマンとして心の立て直し方と、常勝の脳のつくり方について聞いてみたくなったのが今回の取材の動機である。

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なぜ、再び立ち上がることができたのか

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(写真=https://www.japan-wrestling.jp/2015/12/17/83450/) 

〈高橋〉 4年前リオデジャネイロに向けた戦いに破れた時、「ああ、終わった」と思いました。何が一番悔しかったかって、自分のことを応援してくれた人たちを悲しませてしまったことが一番悔しかったですね。家族だったり、友人だったり、チームメイトだったり。応援してくれた人たちに応えることができなかった自分が悔しかったです。でも、その人たちの存在が再び立ち上がるきっかけになりました。全てが終わったわけではない。もう一度頑張ろうと思えたんです。

No.1理論の西田文郎氏が提唱する「勝ちグセ脳をつくる3つの力」というものがあるが、その一つに周りの応援を力にできる他喜力がある。高橋選手は自分の気持ちよりも周りの応援をモチベーションの源泉とすることができる、まさに他喜力の高い選手だと感じた。

まわりの応援を力に変えて再び立ち上がった高橋選手。しかしながら東京五輪までは長く険しい道のりが待っていた。果たして、この長期間の戦いをどのように乗り越えてきたのか。


3年間どのように心をつくってきたのか

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(写真=https://mainichi.jp/articles/20170826/k00/00e/050/268000c

〈高橋〉僕は周りの雑念をなくすことを意識しています。雑念というと、オリンピックへの夢もその一つですね 。だから常に目の前の勝負にしか集中していません。それどころか、試合中も相手の反応を先読みした動きをしようなんて思ったことがなく、常に一瞬一瞬の動きにのみ集中するようにしています。それから、これは嘘だろといつも言われるんですが、自分のことを一度も強いと思ったことがないんですよ。だからなのかわかりませんが、試合直前までは案外平常心でいることができます。もちろん10分前なんかは緊張しますけど(笑)。

〈高橋〉昔は自分に自信を持てないことがネガティブになる原因でした。それは、先生たちから「もっと自信を持て」と言われ続けてきたのに、自分を変えることができなかったからです。でも、ある時から人格は変えることができないものだと割り切って、「無理に人格を変えようとするのはやめよう。今のままの自分でどれだけ試合に向けて高められるかに集中しよう。」そう思えるようになったんです。それ以降の試合では実力を出せるようになった気がします。

4年後を考えると、どうしても遠く果てしなさを感じてしまい、どこかで気持ちが折れてしまいそうである。目の前のことにだけ集中する。これは常勝の秘訣なのかもしれない。また、高橋選手が「自分を強いと思ったことが一度もない」というのにはびっくりした。それは私の彼への印象が「打ち込みの時から打ち込ませてくれない選手」であったからだ。負けん気の強い選手だと思っていた。しかし、ふと振り返ると彼からおごりの言葉を聞いたことがない。そして、あの練習姿勢も自信の無さからくる常に本番を想定した練習だったように思えてきた。


そんな高橋選手に、最後にこんな質問をしてみた。


今の子どもたちに一つ伝えるとしたら?

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(写真=https://www.youtube.com/watch?v=BpXvJsp8dB0)

〈高橋〉一つ思うことは、もっとずうずうしくていいと思います。先生は確かに強く鍛えてくれる存在だけど、自分のことを一番理解しているのは自分。だから、先生がいっていることが違うと思ったら、「僕はこう思ってます」と自分の考えをぶつけてみることがすごく大事だと思っています。指導者の言いなりの選手は、ある程度までは強くなるかもしれないけど、それより上にいくことは難しいと思います。本当のトップ選手はみんな自分の考えを持って行動してる人ばかりですよ。僕も無理に人格を変えようとしなくてよかったと思っています。だから、今の子どもたちに「もっとずうずうしくあれ」と伝えたいですね。

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今回快く取材を受け入れてくれた高橋選手。取材をしていて思ったことは、自分の人格を達観視できる能力に優れている選手だということ。自分の強みと弱みを知っていることは、冷静に行動を選択できることに繋がる。それから、応援を力に変えられる他喜力に関してとてつもなく高い能力を持ってるということだ。私の周りでもなかなかこのタイプは珍しい。そして彼は遠くを見るのではなく、雑念を無くし目の前のことに集中することを常に意識している。自分の人生を振り返ると、目の前のことに集中できている時は迷いがなかったように思う。遠くを見すぎるから迷いが生まれてしまうのかもしれない。迷いは一戦一戦の勝負の邪魔になってしまう。これは現役アスリートだけでなく社会人にとっても大変学び深いことである。

4年前と比べて、心も身体もつくりあげてきた彼に、是非とも世界選手権で最高の結果を残してほしいと思う。

最後までお読みいただきありがとうございます。私と一緒に、そんな高橋選手の応援をよろしくお願いいたします!

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半田 守
1990生、京都府出身。6歳からレスリングをはじめ、網野高校卒業後、専修大学へ進学しレスリング大学日本一になる。2018年から岡山県西粟倉村に移住し
自然エネルギーの勉強をスタート。同時にレスリングウエアブランドMAMOを立上げ、現役選手にエールを送り続けている。
MAMO:https://mamo.style
twitter:@handamamoru https://twitter.com/handamamoru
note:”仕事つくる”をテーマに連載中!

読んでいただきありがとうございました。
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