「籠釣瓶花街酔醒」@歌舞伎座を観てきました。
先日、一幕見席で「籠釣瓶花街酔醒」を観てきました!
明日は、昼の部を通しで観ますが、
ひとまず、あらすじと初見の感想を含めてお伝えします。
舞台全体の華やかさはあるものの、
ストーリーの切なさがあり、
セリフそのものは難しい言葉遣いではないので、
初心者でも楽しみやすいタイプの演目です。
ただ、遊郭の仕組みなど、予備知識がある方が楽しめるので、イヤホンガイドを借りるか、WEB講座の事前受講がオススメです!
ぜひ、一幕見席で良いので、ご覧くださいまし。
↓詳細はこちら。、
あらすじ
この演目は、
中村勘九郎さん演じる「佐野次郎左衛門」
と
中村七之助さん演じる花魁の「八ツ橋」
を中心に話が進んでいきます。
八ツ橋は、
吉原で飛ぶ鳥を落とす勢いの人気の花魁。
佐野次郎左衛門は、
天然痘にかかった後遺症で顔が痘痕顔になっている男。
佐野の絹商人として、稼ぎの良い人だが、顔が原因で女っ気なし。
以下は、佐野次郎左衛門側からのあらすじです。
八ツ橋側のお話は、感想の方に書きます。
ある日、佐野次郎左衛門が江戸に仕事で来た時に、
記念に吉原を見物に行きます。
※吉原だと、実際に遊んで行く人より、ただ見物だけして帰る人の方がはるかに多かったそうです。
遊ばなくても、見物に行くと、花魁道中(花魁のパレードをイメージしていただくとイメージと近いかと。)を見ることができるため。
佐野次郎左衛門はそこで八ツ橋の花魁道中を見て、
八ツ橋に微笑まれたことで、
心を奪われます。
それから、佐野次郎左衛門は着々と八ツ橋の元に通うようになります。
八ツ橋の馴染みとなり、
佐野次郎左衛門は八ツ橋を身請けしようします。
身請けを決定的にするために、仕事仲間たちを連れて八ツ橋の元に遊びに行きます。
佐野次郎左衛門は仕事仲間たちに自慢したかったから。
それにもかかわらず、
仕事仲間たちのいる前で、
八ツ橋に、
「身請けは断る。もう、会いに来ないで!!!」
と言われてしまいます。
※この八ツ橋の行動を、「愛想尽かし」といいます。
天国から地獄に突き落とされた佐野次郎左衛門は、その後どうするのか。。
この続きは、歌舞伎座で。
※「いや、結末を先に知りたいよ」という方は、こちらで。
感想(ネタバレを含みます)
ネタバレしてますよ。
大丈夫ですね???
八ツ橋(七之助さん)
まず、花魁道中で、初めて出てきた瞬間から、
美しい
美しい
美しい
目を奪われる。
あれに微笑まれたら、そりゃ、落ちるよね。
うん、絶対落ちるよ。
でも、
幸せな気持ちで八ツ橋を見ていられた時間は、
短かったです。
八ツ橋は、佐野次郎左衛門に、
愛想尽かしをするわけですが、
実は理由あってのこと。
八ツ橋の本命の彼氏(お客さんではない。ヒモです。)から、
「俺と別れたくなかったら、身請けを断って、愛想尽かししろ」
と脅されていたのです。
自分を贔屓にしてくれていて、
真面目で実直でいろいろお世話になっている馴染みのお客様に無礼なことはしたくない、
愛想尽かしなんてしたくない気持ち
それでも、愛する彼氏と別れたくない気持ち
この2つの間で板挟みになる八ツ橋。
愛想尽かしをしているものの、
どんどん冷静さがなくなって、
「なんでこんなことしなくちゃいけないの?!」
という叫びがセリフ外の全身から伝わってくる。
観ていて、辛い。
愛想尽かしした後の去り際に、
「あちきはつくづくいやになりんした」
(言い回しが正確じゃないかもしれないです。)
というときの八ツ橋の姿。
切ない。
表面だけだと、
佐野次郎左衛門のことを嫌いになったという意味にも取れますが、
八ツ橋が嫌になったのは、
自分自身、
周りの人に流されざるを得ない自分の身の上だったのかなと思いました。
ちなみに、七之助さんは、ご自身のラジオで、
「八ツ橋が可哀想で、台本を読んでて泣きそうになる」といった趣旨のお話をされていたくらいです。
なお、八ツ橋は、過去に、坂東玉三郎さんなどいろいろな方が演じていらっしゃいますが、
他の方だと違う雰囲気になるそうです。
坂東玉三郎の八ツ橋は、もっと、「世の中ってこんなもんね」みたいにドライな感じらしいです、観たことがないのでわかりませんが。
佐野次郎左衛門(勘九郎さん)
最初は、
真面目に商いをやって財を成している人なんだろうなぁと思っていたのですが、
途中から、
「ん?この人、八ツ橋の馴染みになったからって、ちょっと調子乗りすぎじゃない?」
と思い始めました。
実は、私、この演目の一幕見席のあとに、
新橋演舞場で「ヤマトタケル」を観ていました。
↓ヤマトタケルの話はこちら
なので、
今思うと、
佐野次郎左衛門も
「慢心により、自慢しようとしていた仕事仲間の前で愛想尽かしをされるという痛い目に遭う」
ということなのかとしれないなと思いました。
でも、
調子乗りすぎていたとはいえ、
佐野次郎左衛門も気の毒といえば気の毒。
その日のお迎えのときの様子から一転、
突然、愛想尽かしされるなんて、予想できないですよね。
なお、
勘九郎さんの演技が一番光るのは、
一番最後。
八ツ橋を斬り殺した後の、
狂ったサイコパスのような目。
勘九郎さんって、
どちらかと言うと、
サイコパスのイメージはなかったので、
驚きで、固まりました。
私が固まっている間に、幕がおりていました。
ぜひ、
最後まで気を抜かずに勘九郎さんにも注目してほしいです。
その他の演者のみなさん
「その他」
なんて雑な括りにするのははばかられるような演者だらけです。
片岡仁左衛門さんは、
めっちゃイケメン彼氏です。
ただ柱にもたれかかっているだけでイケメンオーラが出ているのは、すごいです。
尾上松緑さんは、
ここのところ性根がまっすぐな役ばかりだったので、私としては、「悪い役は新鮮だけど、良い味出してて、また観たい」と思いました。
他にも大物や花形がたくさん出てます。
豪華出演陣です!
そろそろ2000文字を超えているので、
ここでたたみます!