1970年 万国博覧会の残香を求めて
昨年、職場の倉庫から1970年、大阪府は吹田市にある万博記念公園で開催された万国博覧会のアルバムが出てきた。それは少し色褪せてはいたが、私を夢中にさせた。私は観る映画を選ぶ際に、広告の色合いで決めることが多い。例えばホットピンクや黄色、ネオングリーン等好きな色がそれに使用されているとついつい気になってしまう。どのような話だとか、その映画の評価などはあまり気にならない。ジャケ買いみたいな感覚だ。それと同様に、そのアルバムの中の写真の中から私の好きな色が多く抽出できたのだ。スタンリー・キューブリック(1928-1999)の『2001年宇宙の旅』の世界がまるでそのまま、そこにあったかのように思えた。
それをきっかけに私は36枚撮りネガフィルムで現代に存在する"EXPO'70"っぽい風景を撮影することを試みた。ここからは解説とともにその記念すべき1本目を紹介したい。
NU茶屋町に向かう途中にあった、イースクエア茶屋町というビルの地下へ向かう階段の中だ。宇宙、未来的な雰囲気はありながらも、どこか懐かしさを感じる。
万博公園にある水族館、動物園、美術館を融合させた施設、ニフレルにて撮影した。フィルムで撮影したからだろうか。この写真があのアルバムに載っていてもおかしくないような気もした。万国博覧会で展示された未来都市空間は既に当たり前になっているのだ。
大阪第一ビルを歩いていると、扉から出てすぐにこの不思議なライトを見つけた。何度観ても美術に鈍感な私はこのデザインが何を表しているのかはわからなかったが、博覧会の日本館の屋根に似ているような気がした。
今回現像したフィルムを見返して、EXPO'70を思い起こさせる写真はこれだけであった。まだまだ私は大阪を観察しきれていないようだ。だが、生まれ故郷である吹田でまだ産まれていない頃に開催された歴史的な博覧会についてもっと知りたくなった。たえず変わりゆく街の中で消えていく風景を見逃してはならないとも感じた。これからもその一瞬私にだけみえる景色をファインダーを通して記録していく。
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