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「これ面白いの?」病じゃないやつがきた。

小説を書いていると、「これ面白いの?」病にかかる時がある。
最初は「絶対に面白くなる」と思って書いたのに、書き進めていくうちに、「これ本当に面白いのかなあ」と不安になる現象のこと。

以前ツイッターを見ていて、クリエイターの人はわりと、この病に悩まされていると分かった時は、ホッとしたものだ。
ああ、私だけじゃない。みんなあるんだ、と。

私は、この「本当に面白いの?」病が来たときは、まともに書けているのだと思っている。
だって、途中で冷静になれているんだから。
そして、そのまま完成させられたら、それは冷静になった脳で読んでも大丈夫だと思ったということだろう。たぶん。

むしろ、「これ面白い! 面白すぎる! 私は天才だな!」とずっと思って書き終え、そして公募に出し、結果を待っている時が一番よくない。
だって、冷静な時が一度もないのだ。これは危険すぎる。
だいたい、そういう時の成績は良くない。ここのところ、こればっかりなのだが……。

ここ一週間ぐらいは、みらい文庫に応募する小説を書いていた。
プロットを何度も何度も書き直した、力作になるはずのものだった。

書き進めるにつれ、なんとなく違和感を覚えた。
最初は、あまり気にしなかったが、書いていくうちに思う。
あれ、なんか違うなあ。

これは「これ面白いの?」病ではなく、完全に違和感だった。
でも、何がどうおかしいのか分からない。
じゃあもう、明日にでも1から読み返そうと思って、寝ることにした。

しかし、なかなか眠れなかった。
午前中に二度寝をしたから……という理由もあるけれど。
あの「違和感」が気になって、眠れなかった。
なにか重大なことを見落としているような気がする。

雰囲気が、とても地味だと思う。児童向けなのに。
主人公に異能がないから? 不思議要素皆無だから?
いやいや、そういうことではない。
なにか、決定的にダメなところがある気がする。
あれこれと考えていて、気づいた。

主人公が、事件に巻き込まれていない。
完全に蚊帳の外で、一人騒いでいるだけなのだ。

例えるなら、魔法少女に憧れる女の子が、ただ魔法少女に憧れるだけで終わる。魔法も魔法少女も出てこないお話。

ただ、そういう設定に恋愛ものと謎解き要素を入れたものだった。
だけど地味すぎる~! とにかく絵が地味!
大人向けなら、面白がってくれる人はいそうな気はする。
でも、児童文庫向けではないなあ。

脳内の小四の私が、手で大きなバツ印を作って警告している。
それはダメなやつ! 大人のあんたが「オチに驚いたでしょ~」ってやりたいだけで、何一つ読者のほうを向いていない! そんな趣味に突き合せるな!
そう言っている脳内の小四。

そんなわけで、これはボツとなった。ボツというか、もう少し主人公を巻き込んでいく設定にしないと面白くならないなあ。

そんこんなで、私はあっさり新作を書くのをあきらめた。
1/3ほど書き進めていたが、応募前に気づいて良かったね、と思うことにした。

ここまで心に余裕があるのも、改稿作があるからだ。
まだ改稿してないけど……。

「これは絶対に面白くなる」と思って、何度もプロットを書き直し、本文を書き始めたものがまた1からになるのは、とても残念だ。

でも、応募前に気づけて良かったと思う。
以前なら、勢いだけで書き進めてそのまま応募して、落選して、それからようやく冷静になって読み返して気づくくらいだっただろうから。

成長したんだろうか?
いや、これは「改稿作がある」という心の余裕がからきているのだ。
この新作がダメでも、まだもう1作ある。
それは冷静になるためには必要なものだった。

やっぱり新作はどんどん書いて、落選しておかなきゃダメだね!
そうすれば改稿作としてストックができる。

本当は締め切りに余裕をもって書いておいて、冷静になるまで寝かせてから読み返すのがいいのは分かってる。
分かってるけど、締め切りギリギリにならないと書き始められないのはなぜ……。

二回も三回も落選して、改稿繰り返して、ようやくいい感じになるよりも応募する前に寝かせたほうがメンタルにもいいはずなのになあ。
応募すること自体が、楽しいんだよね……。

そんなわけで、今日はインプットデーにした。
改稿からも目を逸らしているという……。
これは必要な時間だから。録画した映画の「八つ墓村」を観たかったからじゃないよ……。面白かったよ……。

明日から書こう! 間に合わなくなる!

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