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真っ暗な闇の中は豊かさでいっぱい
先日「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」に参加してきました。
この場は完全に光を閉ざした“純度100%の暗闇”。
普段から目を使わない視覚障害者が特別なトレーニングを積み重ね、
ダイアログのアテンドとなりご参加者を漆黒の暗闇の中にご案内します。
視覚以外の感覚を広げ、新しい感性を使いチームとなった方々と
様々なシーンを訪れ対話をお楽しみください。
3年前に音のない世界を体験する「ダイアログ・イン・サイレンス」を体験して、聴覚障害者によるアテンドによる体験が素晴らしかったので、「イン・ザ・ダーク」も期待していました。
緊急事態宣言中の今回、私と娘ともうひとりの3名のグループで参加。
それぞれ白杖を持ち、暗闇の中へ入るとニックネーム・トランプさん(トラちゃん)が笑顔で私たちを迎えてくれる。
彼は5歳の時から完全な盲目になられたようで、今回のアテンド役。
純度100%暗闇の中を案内してくれました。
目を閉じても、開けても真っ暗闇は全く初めての体験。
白杖と声掛けを頼りに、進みます。
音がどの方向、高さ、距離、など位置を捉え、
街中で聞こえるであろう音をどう聞き分けるか?
自分はどう感じるか?などそれぞれの話を聴きながらの時間は楽しい。
段差のある場所や足許が不安定な場所ではズリっとなって冷や汗ものでしたが、難所もクリアしていけました。
トラちゃんいはく…
「足裏の感覚は大事で、ちょっとした傾斜などを覚えて街中を歩いています」
とのこと。
中でも【音から景色を観る】という試みをしたのですが、みんなで奏でた音が美しく、それぞれが頭の中で見えたことについて話すのは言葉を駆使し、いかに伝えるか?を試され、質の高い相互理解の場として、とても豊かなものでした。
今回がアテンドとしてデビューだったことを最後に聞かされ、驚いたのですが、この役になるために万全のトレーニングを積まれただけのことがあるなーーと、とにかく感心するのみ。
お礼を兼ねて、事務局へトラちゃんの活躍ぶりについてメールしたら、すぐにご本人にもシェアしてくださって、このようなお返事まで頂きました。
〇月〇日の日、アテンドをいたしましたトランプです。
感想をメールにていただけ感動しております!
とにかく緊張しており、拙いアテンドともあいまって、ご不快を感じさせたのではととても気になっておりました。
ハナさんのお名前をずっと呼び違えていたことも、後ほど自身で振り返るまで気付きもしないくらいの緊張ぶりでした。
大変失礼いたしました。
また、〇〇ちゃん(娘)の活発で朗らかな話しかけにどれほど癒され助けられたか知れません。
一つでも大切な何かをお持ち帰りいただきたいとの一心で初回アテンドに臨みました。
この仕事は、私にとって長年の夢であり目標でした。
なのでお褒めの言葉をいただき、胸にこみ上げてくるものがあります!
これからも、人と人とのふれあいや対話が楽しいものであること、生きる上でとても必要であること、優しくなるために欠かせないアイテムであることを、自分自身と多くの皆さんとで共有できればと思っております。
この度、ハナさんと〇〇ちゃんに出会えたことも宝物と思い、これからも頑張ります。
ありがとうございました。
このメールには、グっときました。
視覚障害について色々と話を聴いたり、実際に体験することで、アテンドしてくれるトラちゃんの誘導が頼もしく、同じ目線での対話が生まれる。
参加者それぞれが捉えた世界をシェアし、また彼の作りたい世界を共有できた感覚はえも言われぬ充足感がありました。
こうやって私からのメッセージが伝わり、またご本人からのメッセージが届くという、事務局の熱さというか、温かさがこのソーシャルエンターテイメントの質の高さを支えているなぁと思いました。
「イン・サイレンス」も「イン・ザ・ダーク」もとても素晴らしい企画なので、多くの方に是非とも体験してみてもらいたいですし、学校行事に組み入れてもらいたいと思う次第です。