
11/29 ニーチェ『悲劇の誕生』
<今日の1日>
授業①:ニーチェ『悲劇の誕生』
授業②:大学院ゼミ 博士課程の人の草案
今日のニーチェ『悲劇の誕生』箇所は、p.くらいまで。
原文PDFはここから入手
まずは前回の宿題のサチュロスの性格について
サチュロスの性格
彼等は悪戯好きだったが、同時に小心者でもあった。破壊的で危険であり、また恥ずかしがりやで臆病だった。ディオニューソス的な生き物として、彼等はワインと女性と男性(美少年)を愛した。アウロスという笛、シンバル、カスタネット、バグパイプといった楽器の音楽に乗って、ニュムペーと踊ったり口説いたりした。人間にとっては激しい恐怖だった。彼等はディオニューソスのドンチャン騒ぎに絡めて語られる事が多く、神話や伝説の中ではマイナーな存在である。スキニス(en:Sikinnis)という特徴ある踊りを踊った。本能的にあらゆる肉体的快楽をむさぼろうとした。
今回の内容はざっくりこんな感じだった
ここもめちゃくちゃ面白い
リヒャルト・ワーグナーよると、「文明は音楽によって消されてしまう」
Von letzterer sagt Richard Wagner, dass sie von der Musik aufgehoben werde …
:自分の存在が消えたように感じるのではなく、自分の存在は消えずに「無力化」あるいは「止揚する」(aufheben)
サチュロス合唱団を目の当たりにした時、ギリシアの文化人がその存在を消されたように感じたのも同様だろう。
=これ(=音楽が文明を消すこと)は、ディオニュソス的悲劇の第一の作用
すなわち、国家や社会、一般に人間と人間との間に設けられている断層が後退して、自然の心に我々をつれもどす…
... welches an das Herz der Natur zurückführt.
原文で読むと、aufheben を使っている!
これはヘーゲルを意識して書いたらしい!
だから、「消す」というよりかは自分の存在は消えずに「無力化」あるいは「止揚する」ということを意味してるんだって
サチュロス合唱団:アテーナイでのサテュロス劇で、サチュロス合唱は舞台の所作に対する注釈役形而上学的慰め(Der metaphysische Trost)を具体的に現象したものあらゆる文明の背後に滅ぼすことのできないものとして生きており、永遠に変わらないものとして同一である自然的生きものから構成されている
特にここからがめちゃくちゃ面白い!
はじめて美学とかニーチェとかショーペンハウアー面白いって思った(笑)
p.91〜
ギリシア人は合唱団によって慰めを得た。ギリシア人を救うのは芸術だ。そして芸術によって彼ら自身を救うのは、生なのだ。
Ihn rettet die Kunst, und durch die Kunst rettet ihn sich - das Leben.
ニーチェとショーペンハウアーの生(Leben)の見方の違いが現れている
ニーチェ:生によって救う
*芸術と生の関係性
ショーペンハウアー:生は沈静化すべき
… eben so wie in die Grausamkeit der Natur geschaut hat und in Gefahr ist, …
* ...geschaut hat と und in Gefahr ist の時制の違い
… buddhaistischen Verneinung des Willens …
*Verneinung des Willens はショーペンハウアーの言葉
ショーペンハウアーはもともと Verneinung des Willens じゃなくてaufheben des Willens を使ってたけど、ヘーゲルに先を越されたから Verneinung という単語を用いたんだとか。
だから Verneinung des Willens は aufheben des Willens を意味してるんだとか!
そしてここの部分からニーチェとショーペンハウアーの Leben の捉え方の違いが見えてきますね!
面白いー!