複素数の定義と計算の話
虚数
中学校までに習った実数では2乗すると必ず0以上になる。つまりすべての実数$${a}$$に対して
$$
a^2 \geqq 0
$$
が成り立つ。しかしそれでは$${x^2+1=0}$$のような方程式に解を与えることができない。そこで2乗して負になる数が作られた。つまり
$$
i^2=-1
$$
となるような数$${i}$$を考えた。このように実数以外の数を虚数という。特にこの$${i}$$を虚数単位という。
虚数の大小
実数には大小を考えることができたが、虚数では大小を考えることができない。なぜなら$${i >0}$$のとき両辺に$${i}$$をかければ
$$
i >0 \\
-1 > 0
$$
となり、一方$${i<0}$$なら
$$
i<0 \\
-1>0
$$
となり、いずれの場合も矛盾が起こる。
この点は間違いやすいので注意が必要。
複素数
さてこのように定めた虚数$${i}$$を用いて、数の範囲を拡大する。実数$${a, b}$$を用いて
$$
a+bi
$$
と表される数を複素数という。もちろん$${b=0}$$のときは単に実数である。また$${a=0}$$のとき、つまり$${bi}$$のようなかたちで表されるとき、これを純虚数という。
ここで$${a+bi}$$の$${a}$$の部分を実部、$${b}$$の部分を虚部という。また、$${\alpha = a+bi}$$に対して$${a-bi}$$を共役複素数といい、一般に$${\bar{\alpha} =a-bi}$$とかく。
複素数の計算
この話の最後に複素数同士の計算について考えてみる。
複素数のたし算・ひき算
複素数のたし算・ひき算は実部、虚部同士をそれぞれ計算する。つまり2つの複素数$${\alpha = a+bi, \beta=c+di}$$($${a,b,c,d}$$は実数)に対し
$$
\begin{align*}
\alpha + \beta &= (a + bi) \pm (c+di) \\
&=(a \pm c) + (b \pm d)i
\end{align*}
$$
となる。
複素数のかけ算・わり算
複素数のかけ算は以下のように行う。
$$
\begin{align*}
\alpha \beta
&= (a+bi)(c+di) \\
&= ac + adi + bci + bdi^2 \\
&= (ac-bd) + (ad+bc)i
\end{align*}
$$
ただし2行目から3行目への変形では$${i^2=-1}$$を用いた。
一方わり算は
$$
\begin{align*}
\frac{\alpha}{\beta}
&=\frac{a+bi}{c+bi}\\
&=\frac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)}\\
&=\frac{1}{c^2+d^2}\{(ac+bd)+(bc-ad)i\}
\end{align*}
$$
となる。かけ算、わり算いずれも公式として覚える、というよりは演習を積んで実数の計算と同じくらいすらすらできるようになることが望ましい。
最後に
$${i^2=-1}$$であることさえ覚えておけばひとまずは問題ないと思います。ちなみに$${i}$$は虚数(Imaginary number)の頭文字だそうです。
ではまたお会いしましょう。