化身



 ひくいこえが打ち明けた
 朝の地下鉄に敷き詰められたタイルの均一さ
 日々払うべき金額のまやかしのような激しさ
 世界を追い詰めるものの副作用を
 わたしは半身後ろに退きながら
 黙って耳をかたむけていた
 誰もいない夜の平原に
 一人用遊具が軋んでいる
 錆びたバネがにぶくひかり
 わたしたちの目は
 光の一点へ惹きつけられていく
 歪んだ背骨の隙間から
 白い煙を羽のように昇らせて

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