[読書]ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録
言い方は悪いかもしれないけど、今の日本で一番のエンターテイメントは安倍政権ではないかと思っている。
”事実は小説よりも奇なり”というけれど、安倍以降の政府与党のやってることはどこをとっても奇想天外で予測不可能なことが多い。
「河井夫妻大規模買収事件」は安倍政権の問題というよりも日本全体に昔から蔓延っている不正選挙問題という気もするけれど。
今回は中国新聞「決別 金権政治」取材班の「ばらまき 河井夫妻大規模買収事件」という本について感想を書こうと思う。
事件の概要や公判については、現在も中国新聞デジタルで詳しくみることができます。
僕はこの事件は最初から見ていたわけではなかったので、週刊文春のスクープした事件だと思っていたのですが、正確には週刊文春は河井夫妻がウグイス嬢を違法買収したという記事を出したことに始まり、中国新聞が急いで取材を始めたら一連のばらまきが発覚したという話だったのですね。
取材班の執念も素晴らしく、誰が買収されているかわからないから片っ端から議員を取材し事実確認を行います。
しかし、取材される方もされる方で取材時には「金を受け取ったけどすぐに返した」などと述べておきながら裁判では「もらった金はパチンコなどに使った」という。
河井杏里の応援演説には当時の総理大臣であった安倍元首相と現・総理大臣の岸田首相の姿もあり、ばら撒いた3000万円近くの金の出どころも不透明。
買収された政治家は最終的に40名に登ることに。
そもそも政治家にお金を払ったら当選できるってどういうことだって話は、都会の人には現実味のない話かもしれないけれど、田舎に行けば行くほど「顔役」と呼ばれるような人が実在していてその人に従って地域のまつりごとを取り仕切る人たちがいる。だから、「顔役」を押さえればそこに従う人たちの票がまとめて買えるってことなんです。
しかも結構閉鎖的でメンツにこだわる文化があったりするから、選挙前にちょっと挨拶に来る人よりも何かある度に挨拶に来る人が優遇されて今度の選挙で応援してやろうとなります。
自民党の人たちってみんなそういうのがうまくて家の田舎でも行事があると村を一つ一つ毎年挨拶回りに来たりする議員さん多いです。他の党の人は来ないけど。
つまり何が言いたいかというと、これは広島だけの問題じゃないなということですよ。
これを読んだ時うちの選挙区も同じことしてるんじゃないかとか不安になりました。
今回の事件は安倍内閣がどうしても河井杏里を勝たせたかったようだから巨額が動いて悪目立ちしてしまったけど、全国で目立たない程度にこういうことが行われているんだろうなという警鐘を鳴らす必要があると思います。
最近は政治記者といいつつ、政治家をヨイショしているとしか思えない記事を書く人が多い中でしっかりと記者としてのプライドを持って活動されている人もいるんだなと読者ながらに思わせてくれる良い本でした。