見出し画像

歌劇場合唱団員、妊娠しちゃったら?!妊娠と仕事編

歌劇場合唱団

女声部

30人以上の女性が毎日

舞台で活躍しています。

ここ数年で、

若い団員の数が増えてきました!!

そして現在次々と

赤ちゃんが誕生しています~👩‍🍼

そこで

妊娠すると歌劇場の歌手達は

どのように過ごすのでしょうか?

今日は歌劇場合唱団員

妊娠篇~!!

これをお伝えしようと思います!

まず頭に浮かぶのは

妊婦さん、

大きなお腹で舞台に出演するの?

ということではないでしょうか?

私たち女声合唱団員

妊娠が確定すると、

事務所に伝えます。

そして出産予定日の八週間前まで

ということは

妊娠8ヶ月になるまで

公演に出演しています。

けれど、

夜遅くまで続く公演、

妊婦さんには夜22時までに劇場を出なくてはならないという

シンデレラ待遇があるんです。

この時間になると、

公演の途中でも帰宅しなくてはなりません。

ソロを歌ったとしても、

公演終了時のカーテンコールには出られないのです。

もちろんこの待遇は

妊婦さんの健康上に問題がない場合です。

問題がある場合は、お医者さんの診断書を添え、

早期のマタニティプロテクションに入ることになります。

マタニティプロテクションは、

母親を守る為にあるこの国の法律で、

普通分娩で1人出産の場合、

出産日の前後八週間は働いてはいけないという

決まりになっています。

そのおかげで、

お母さんは落ち着いて出産の準備をすることができます。

そしてマタニティプロテクト期間が終了すると

産休に入ることになります。

さて、

歌劇場でのお仕事は妊娠でどう変化するのでしょうか?!

もちろん妊娠8ヶ月になるまでは

公演や練習に参加します。

大きな変化といえば、

日に日に変化する体のサイズに合わせて

衣装合わせが

かなり頻繁に入ることです。

まず、自分の着ていたドレスの縫いしろがギリギリまで引き出され、

それでも足りなくなると、サイドの縫い目を開き、

布が足されます!!

それでもどんどん大きくなっていくお腹!

衣装もどんどん変化していくのです。

背の小さい私は

妊娠8ヶ月近くなると

食欲旺盛だったこともあり、 

前から見ても横から見ても同じ太さの

タルのような姿になりました。

ドレス姿はもう自分でも笑っちゃうほど

見事に丸く、

修道女役の時などはかなり怪しい姿で、

修道女が妊娠してるのはちょっとやばいかもね、と

皆にかなり笑われました。

我ながらかなり違和感もあり、

ちょっと恥ずかしい気分でしたが、

上(演出家助手)はお構いなしのようでしたので、

しょうがないよね、と 

任務をそのまま遂行していました。

同期で一緒に妊娠していた仲間も同様にコロッコロでしたので、

その当時の姿はいまだに語り継がれています。

けれど、舞台上での危険な行いは全て免除になり、

動きの速いダンスや、激しい動きのあるシーンでは

サッと舞台袖に下がるようにされていました。

スタンダードで、ほぼ毎日履いているパンプスも

ヒールがないものに変わり、

浮腫んでいる日は

大いなサイズのものを探してきてくれたり、

合うものを常にセレクトしてもらえます。

衣装さんが

衣装の脱ぎ着に加え、

靴まで履かせてくれる!!

という状況も経験しました。

妊娠も中期を過ぎる頃から

お腹も大きくなりだして、

屈めなくなってしまい、

ブーツなどの紐も結べなくなるんですね。

こんな状態になっても、

大きなお腹を抱えて

ソロを歌っている仲間もいます。

けれど、

劇場側と、合唱団の仲間たちは

妊婦さんの安全を第一に考えてくれてサポートしてくれるので

妊娠中は安心して舞台を務めることができます。

しかし、

毎日お腹の中で

ママの歌う大声と

周りの大音量を聴き、

ダンスなどでシェイクされ、

赤ちゃんはどんな気分だったのでしょうか?


胎教に良いと言われている

モーツアルトの音楽。

私の場合は

ひっきりなしにお腹の中で

蹴りが入りました。

何か怒っているような気分があり、

もしやモーツアルトは嫌なのか?!

と思ったくらいです。

それとは正反対。

かなり悲劇的なヴェルディやプッチーニなどの

ドラマチックなオペラ公演では

お腹の中が神妙で静かな雰囲気になりました。

赤ちゃんが集中して聴いているような

そんな気配が私には伝わってきました。


こんな環境の中育ったベビーたち、

一体どんな子に育つのでしょうか?!


アクションの多い妊婦期間を無事終えて、

出産を迎え、産休に入ると、

最長で子供が2歳になるまで

子供との時間が持てることになります。

この期間、

合唱団では産休に入った仲間のポジションに空きが出ます。

私たちの歌劇場では、

この空きを埋めるために

産休代理の歌手が雇われることになっています。

その場合は、

オーディションが行われることもあれば、

エキストラで歌っている方が入ってくださることもあります。

私が産休を取った期間は

2人ともそれぞれ1年ほどでした。

が、この産休期間、

それはもうあっという間の一年で

これまでは、仕事のリズムを中心に

自分のためだけに時間を使っていましたが、

そんな生活は消え去り、

やることリストに自分の項目がほぼ無しの

怒涛の子育て期に入るのです!

次回は

一年間の産休を終え、

新米ママとパパ

ベビー、家事、仕事復帰

と、どうやって生き延びてきたのか

子育て編!

に続きます。





































この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?