スタートアップはエンジニアを雇用できないから諦めよう
こんにちは、元スタートアップの経営者兼エンジニアの花井です。
現在はベトナムでSaaSスタートアップ専門のオフショア開発サービスのブリッジエンジニアをしています。最近、スタートアップからエンジニアの雇用について相談を受けることが多いので、スタートアップと開発者の状況について書きました。
そもそも大企業でさえ足りないエンジニアをなぜスタートアップが雇用できると思うのか?
スタートアップのエンジニア雇用の前にエンジニア自体が圧倒的に足りていないので、どこの企業も足りていません。圧倒的な売り手市場。それに伴い、エンジニアの給与や待遇も高騰。引っ張りだこのエンジニアは、企業に所属するよりも儲かるフリーランスへとどんどん転身しています。
そんな流れがある中で、なぜ圧倒的に足りないスタートアップに転職するのでしょうか?
スタートアップの開発者の待遇は良くない
エンジニアの売り手市場ですから、給料は高騰、そして儲かるので採用会社やエージェントが活躍します。
企業はエンジニアにコンタクトできないので、彼らを頼ることが多いのですが、大体の年収の30%とかの費用がかかったり、フリーランスの紹介ですと、フリーランスの月額契約の15%ほどの費用がかかります。
加えて、シニアレベル市場のアプリケーションエンジニアですと、年収6-700万は必要でしょう。フリーランスであれば、月額70-80万が最低ラインです。
それ以下だとそもそも応募が来ません。
なぜなら、それくらいの単価の求人や案件が溢れているのに、わざわざ待遇の悪いところに行く意味が分かりません。
キャリアが魅力的でない
そもそも、エンジニアにとってもキャリアが大切です。不安定なスタートアップがうまく行っているときは良いでしょう。
でもそうでない時もあるはずです。
キャリアとして、魅力的に見えないのであれば、大企業と同じ待遇でも雇用できません。
エンジニアの生き方
でもスタートアップが開発者を絶対に雇用できないわけではありません。
エンジニアの立場に立って考えてみましょう。
私もエンジニアです。エンジニアの方はどのようにキャリアを考えているのでしょうか?
全ての方が当てはまるわけではないですが、このところ一定のレベル以上のエンジニアの方はキャリアとリスクの分散を行っています。
フリーランスで複数の案件をこなしつつ、スクールで教えていたり、アプリを作って収益を得たり。スタートアップへの技術協力している場合もあります。
いくつかの案件で生活のお金を稼ぎつつ、将来のキャリアについても投資しています。
スタートアップの雇用とエンジニアの生き方は正反対
このような傾向を見ると、初期のスタートアップでがっつりとコミットするキャリアと優れたエンジニアの考えているキャリアは大きく外れています。
スタートアップ
「今はお金も多く出せないし、将来うまく行くかわからないけれど、がっつり働いて欲しい」
エンジニア
「スタートアップに関わるのは良いけれど、キャリアはしっかりと積み上げて行きたい、だから収入やキャリアは分散したい」
交わるはずの無い悲しい場なのです。
スタートアップの人事戦略
ではどうしたら良いのでしょうか?
言いたいことは一つです。お金を出すことです。
ただお金を出すわけでは無いです。エンジニア責任者だけに平均より良い待遇で雇用します。
責任者クラスであれば、常勤では社員年収1000万、フリーランスであれば月額100万くらいが妥当でしょう。
そこまで払えば来ます。
でもそこまで払えないですよね。
そこで、責任者クラスは週の半分だけ来てもらって、給料は半額にします。
もっと応募は増えます。エンジニアのキャリアの分散化に合っていますから。
そして、いわゆる下流工程のコードをゴリゴリ書いたり、バグを修正するエンジニアの給料を下げます。
これで全体の開発費用は同じくらいになるはずです。
下流工程のエンジニアが雇えない
この方法では新たな問題が発生します。
そうです、下流工程のエンジニアが雇えないのです。そりゃそうです。給料良く無いですから。
国内でシニアレベルのアプリエンジニアだと500万くらいの年収もしくは月額70万くらいのフリーランスで十分です。
でもそこまで払えない。
そこでオフショア開発の登場です。
国内の下流工程のエンジニアでは、トレーニングを積んだシニアレベルのアプリエンジニアが開発に当たれば安心です。
オフショア開発だと
一人当たり30ー35万くらいの費用になります。約半額です。
スタートアップの開発チームが出来上がります。
まとめ
どこも苦労しているエンジニアの採用を他の企業と同じようにやってもうまく行きません。
リソースも知名度もないスタートアップは、エンジニアの人事戦略を見直して、リソースの再分配を行うと戦うことができます。
スタートアップの戦略的開発チーム立ち上げと運用についての記事を書きました