アナンタサマパッティ
ヨーガスートラ2−46のスティラスッカムについて
ヨーガスートラの2.46「スティラスッカマーサナム」(sthira sukham asanam)は、アーサナ(ヨガのポーズ)に関する非常に重要な教えを示しています。このスートラは、アーサナが安定(スティラ)で快適(スカス)であるべきだと述べています。これは、ヨガのポーズを行う際の基本原則として広く受け入れられています。
- **スティラ(Sthira)**:この言葉は「安定」「固定」「不動」といった意味を持ちます。ヨーガのコンテキストでは、体のポーズが安定していること、つまりバランスが取れていて、震えたり動いたりしない状態を指します。これは、身体的な強さとコントロールを意味し、同時に精神的な集中と安定をも意味します。
- **スカス(Sukham)**:この言葉は「快適」「楽しい」「易しい」という意味を持ちます。アーサナにおける「スカス」は、ポーズが強制的や苦痛ではなく、快適で持続可能であることを意味します。心地よさは、リラックスした状態と、身体的、精神的な緊張の欠如を伴います。
このスートラに示されている原則は、ヨーガの実践において非常に重要です。安定性と快適さのバランスを見つけることにより、アーサナの実践はただの身体運動を超え、心身の統合や内面への深い洞察へと進化します。また、これらの要素は深い瞑想状態へと導く基盤ともなります。ヨーガは単に体を動かすことではなく、心身の調和と自己認識を深めるための実践であることを、このスートラは思い起こさせてくれます。
ヨーガスートラ2−27のアナンタサマパッティとブルッティの関係
ヨーガスートラの2.27(「तस्य सप्तधा प्रान्तभूमिः प्रज्ञा」)は、ヨーガの道を進む人が段階的に獲得する洞察や知恵について語っています。このスートラでは、ヨーガの実践を通じて得られる「プラジュニャ」(知恵)が、七つの段階で展開されることが述べられています。
しかし、この具体的なスートラの中で「アナンタサマパッティ」や「ブルッティ」(一般的には「ヴリッティ」と呼ばれます)について直接言及されることはありません。ただし、これらの概念はヨーガスートラ全体の文脈において解釈されることがあります。
1. **アナンタサマパッティ**: これは、無限(アナンタ)への集中や吸収を意味する可能性があります。ヨーガの実践において、深い瞑想状態や、限定された個人的な意識から超越した、より広い実在や意識への移行を指し示すかもしれません。
2. **ブルッティ(ヴリッティ)**: これは心の波動や思考の動きを指し、ヨーガの実践の目標の一つが、これらの心の波動を静めること、つまり「チッタ・ヴリッティ・ニローダ」(心の波動の静止)であるとされます。
ヨーガスートラ2.27において示される「プラジュニャ」の進展は、心の波動(ブルッティ)が静まり、より深い瞑想の状態(可能性としてのアナンタサマパッティ)に達することで、さらなる洞察と知恵が得られる過程と見ることができます。つまり、心の活動を超えた状態で、より高次の意識や理解へと至る過程を示していると解釈できるでしょう。