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死ぬまで生きるなら、どんな翌日も享受しなければならない。

新入社員しかり、転職しかり、5連勤を終えた週末というのは嬉しいものだろう。
気を張って、笑顔を貼り付けて、わかっている風に相槌を打って、首がもげる程頷いて、急いでメモした字はあとから見返しても全然解読できない。そんな怒涛の40時間が終わったのだから、それはそれは嬉しいだろう。
職種にもよるだろうが、私の場合、ひたすらに目と頭と首の鈍痛により、ベッドから動けない土曜日を過ごした。
溜まった掃除や洗濯、空っぽの冷蔵庫の補充、録画したテレビを見るなど、やりたいことは山ほどあったのに、スマホを片手にうたた寝をしては目覚めるだけだった。
こうなると、自然と水分不足になるものだ。
カラカラの喉と、動きたくないという気持ちがベッドの上で蠢きながら、戦った。
数歩歩けば辿り着けるくらいの狭い1Kなのに、それすら拒むほどに私は疲れ果てていた。

目を閉じると、職場での会話や覚えなければならないことが頭を巡ってしまう。持ち帰った資料を見返したり、記憶を整理したりしているうちに土曜日は終わる。

日曜日の朝、変な夢を見て起きた。
私は飛行機のパイロットで、誰も乗っていない飛行機をもう一人のパイロットと操縦していたが、なんらかの不幸で墜落するのだ。浸水していく機内で生き残ろうと助けを呼んで、もがき続けるシーンで目が覚めた。
なんともまあ、夢というのは現実の鏡である。
新しいマンション、そして新しい職場での孤独感と閉塞感は、乗客ゼロの飛行機がよく表している。
墜落して浸水する中、助けを求める姿はまさに、新しい環境でいっぱいいっぱいの自分そのものだった。
少し笑って、コーヒーを飲む余裕ができた。

人というのは自分を客観視できてやっと落ち着けるものだ。それが夢によるものでも構わないと思った。

間ができれば仕事のことを考えてしまう。
休みだというのに、全く気が休まらない。
鈍る身体と、固まっていく思考だけが私を支配する。
このまま深い海に沈んで消えてなくなりたいとさえ思った。
それでも私は死ぬまで生きなければならないから、生きるために働くのだ。
決して自分が成長するためとか、スキルを身につけるためとか、世の中に貢献するためなどではない。手段として、自分がストレスなく安定して稼ぐことが目標だった。
将来的には前の会社に戻ることもやぶさかではないし、自分が望む環境に身を置けるくらいには、周りから評価されておきたいだけである。

わかっていても、誰だってはじめは心が押しつぶされそうになるものだ。
起き上がるたびにキシキシと痛む身体、バキバキと音を立てる首、重たい目の奥。
水分不足からか、体が少し震えていても、私は死ぬほど弱ってはいないし、明日には笑顔を貼り付けて、わかった風に汚い字でメモを取り続けるしかないのである。

この文章は私の独白記録ではあるが、少しでも転職したての方や、新しい環境に馴染めない方に共感を与えられたらと思う。
不安なことは自然なことであって、それを真正面から受け止めてしまう真面目さは時に損することの方が多いけれど。
そんな特性の人間こそ、きちんと評価されて欲しいと思うし、ずるが嫌いな人間がもっと増えて、不安や痛みをわかる人たちばかりの社会になれば、少しは「もっと長く生きていたい」と思えるようになるのかもしれない。

また月曜日が来るけれど、同じペースであなたの寿命も間違いなく縮んでいるから、確実に、頑張らなきゃ行けない時間は減っていっているから。
明けない夜を望んだら、一生死ぬことができなくなるから。
そういう意味で、私たちはありがたく翌日を受け入れていくしかないんだろう。

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