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人生の休暇

この三連休、1人で過ごしている。
家人たちが2泊で出かけたので、私は1人で自宅にいる。


初日、東京駅まで見送りにいくのを口実にとりあえず家から出た。

というのも、2年前にも同じように自宅で2泊3日を1人で過ごす機会があったのだけれど、初日に仕事の予定を入れ、帰りに本を買い、食べたいものとお酒を成城石井で買って帰宅して、そこからSwitchでピクミンをしていた。お腹が空いたら、薄い牛肉を焼くか春雨スープを飲む程度の食事をし、ピクミンに疲れたらお風呂に入る…そんな風に引きこもって過ごした。
疲れ果てていたのも、あった。ゆっくりゲーム三昧なんていつもは無理だった、というのもあった。
けれど、もったいなかったな……とも思っていた。

今回は、少し前からしたいことをメモしていた。

  • 断捨離、収納の整理

  • 自分の食べたいものを作る

  • 出かける、書店へ行く

というわけで、東京駅で家人たちを見送ってから、まずオアゾの丸善へ行った。
開店からまもない時間で、館内はひんやりしていて、人もまばらだった。
いつもは眺めない棚を眺めようと思い、まずは2階の奥へ。
平置きの本を眺めつつ横移動していたら、ベニシアさんが昨年亡くなったことを知った。さらーっと立ち読み。生活・暮らしの本の棚は圧巻だった。60歳を身軽に生きる、とか、コンパクトな70歳の暮らし、とか、80歳からの楽しみ、とか、明るい90歳、とか。そうかー高齢化社会の象徴みたいな棚だなぁ。女性は元気だ!と見えるけど、この世代の女性が1人で生きるにはこの歳まで稼ぐ必要があるからか、とかぶつぶつ思っていた。茂木健一郎氏の本で、とにかく好奇心を持ち行動することが大事、と書いてあった。その通り!と思い、いつもしないことをしようと決意する。事務所の一角をバーコーナーにし、その後、コーヒー屋台を作ったりベンチを街に設置したり、公共の場に過ごせる場所を作ろうという建築家さんの本と出会い、素晴らしい!と思った。

2時間半を過ごし、3冊の本を手に丸善を出た。(購入した本は、また後日)
丸善のカフェも見たけれど、座れるけど混んでいた。イヤフォンを持って出ていなくて、もう少し人の少ない場所で集中して読もうと思って、皇居方面へ。
和田倉門のスターバックスを思い出し、行ってみた。
座れるけれど、お喋りしている人も多く、レジカウンターは長蛇の列でモバイルオーダーするにも時間がかかりそうだった。
スターバックスを出て引き返す道すがら半蔵門線の入り口を見つけた時に、神保町へ行こうと思いついた。新宿伊勢丹へ行こうと思っていたのもあり、今日はメトロ縛りで移動しよう、と思いつき24時間乗車券を購入した。
神保町に着くとパンフレット片手に街を歩き回って何やら書き込む人々がいた。何かのイベントかな?と思いつつ、岩波のブックカフェへ入り、カレーとコーヒーを注文し、購入した本を読んだ。食事の前に1冊目の20ページほど、食事を終えコーヒー片手に2冊目を50ページ。複数の本を行ったりきたりしつつ読むのが好きだ。1時間ほど過ごし、文房堂へ行き、お遣い物に添えるカードを購入した。

途中でメトロの24時間チケットで受けられるという特典リストを眺めていたら、古代オリエント博物館の入館料が割引、と書いてあった。古代オリエント博物館があるということも初めて知ったけれど、茂木健一郎氏の本にも好奇心&行動が大事、公共スペースを利用することは大事、高齢になってもイキイキ生きるには今から!とあれこれに突き動かされ、行くことにした。

到着した時に、ちょうど学芸員さんの解説がされていたので、人の輪の後方で聴いた。黒曜石がテーマだった。ほほぉ、と思いつつ聞いていた。
館内はそんなに広くないものの、展示は充実していた。世界史の初めの方で習った知識を久々に取り出し、戦争で破壊された仏像のことを思い出し、卑弥呼の時代の金印を思い出しつつ、新しい知識を得た。

1時間半ほど過ごし、新宿伊勢丹へ。
お遣い物のチョコレートを買い、アラビア社の新色のグラスの色味を見たくて食器コーナーへ行った。私が持っているグラスの色が廃盤になったことを知り、そして新色グラスは少し想像と違ったけれど、やっぱり素敵だったので購入した。
もう一度地下へ降り、夕食にしようと点心の詰め合わせを購入して、メトロで帰宅。

帰り道に24時間券でどれだけお得だったのだろうと計算をしたら、390円分の得をしたらしかった。たった390円。改札機に券を通す手間とか、券を通せる改札機を遠めに探すことを考えると、それっぽっち、と思った。けれど、24時間チケットを手にしていなければ、古代オリエント博物館という存在も知らないままだったから、初めてのことをやってみて良かったのだ。
経験はプライスレス。

帰宅して、お風呂に入り、ざっと掃除をし、点心を温めレタスを千切って夕食にした。
そして、22時にベッドに入りラジオを聴いていたら眠っていた。

誰の世話もしなくてよく、誰の安全にも配慮しなくてよく、自分の好奇心の向くままに歩き回り、食べたいものや飲みたいものだけを好きな時に、好きな量だけ口にすればいい、というのはとても幸せなことだ。

人生の休暇。
そんなことを思った初日だった。
2年前の引きこもりのゲーム三昧の日々とは全然違う過ごし方が、私はできたのだ、と思うと誇らしかった。

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