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「春はますずし」 富山名物の駅弁「ますのすし」を頬張りながら、夫がそんなことを言い出した。 千年の時を越え、清少納言から著作権侵害のクレームが飛んできそうな一言だが、夫の言うとおり、ますのすしは色もほんのり桜色で、春にぴったりの食べ物だと思う。 ますのすしは、笹の葉にくるまれている。 小さな木製のわっぱには酢飯、その上に鱒が乗っている押し寿司だ。付属のプラスチック製のナイフを使って、等分に切り分けて食べるその様は、寿司界のホールケーキといっていい。 まだま
「このチューハイ、かたいね!」 この言葉の意味が分かる方は、結構な酒飲み、もしくは居酒屋文化に詳しい方だろう。私は居酒屋文化には詳しくないが、酒飲みなので、この「かたい」という言葉を、面白半分で口にしている。 炭酸水や烏龍茶、ホッピーなどをお酒にするには、レモンや梅干しなどの割り材の他に甲類焼酎が必要だ。キンミヤ焼酎であれば最高だし、宝焼酎にも美味しい甲類焼酎がある。もっと安価にしたいなら、それこそ4リットルペットボトル入りの甲類焼酎で勇ましく飲むこともできる。
私の愛読書は、メニュー表である。 「何を馬鹿なことを」と思われるかもしれないが、メニュー表ほど、面白く、楽しい読み物はないのではないか、と私は思っている。 「メニュー表は、書籍ではない。第一、書店では売ってないではないか。そんなものを《愛読書》と言い切るなんて、君は恥ずかしくないのか?」 厳格な読書家の皆さんに、こんなお叱りを受けそうではあるが、それでも私は、メニュー表を愛読書と言いたいのだ。 なぜならば、私はメニュー表を愛しているからである。 しかし、いくらメ