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日本では、今までたくさんのスイーツが登場してきた。その中でも、一大ブームを巻き起こすようなスイーツには、やはり流行するべくして流行した理由があるように思う。味や見た目もさることながら、どのスイーツにもその名前に、声に出したくなるような言葉の響きがあるのだ。 タピオカを飲むことを「タピる」などと言うのも、その味や見た目以上に「タピ」という言葉の持つ愛嬌のようなものが、人々の心をとらえたのではないかと思う。 今ではすっかりおなじみになったティラミスだが、その名前も、音
私は明日、臭い女になる。 足が臭いのではない。明日の私が臭いのである。 私は今、無性にニンニクが食べたいのだ。3玉ぐらい刻んで、オリーブオイルに放り込んで、大量のパスタをいれて、アーリオなオーリオでペペロンチーノをしたい。 赤い布を目の前に掲げられた闘牛のように、私は今、ニンニクに向かって走り出したいくらいなのだ。ニンニクの名産地である青森の畑を、犬のように掘り返したくてたまらないくらいなのだ。 ニンニクを摂取する前から、ニンニクの効果が出ているのではないかと思
その日、日本酒を買ったので、熱燗にきりたんぽ鍋としゃれこもうと準備をしていた。普段、きりたんぽ鍋はそんなに食べないのだが、柔らかく炊けてしまったご飯を冷凍してあったので、それを消費するために、きりたんぽを作ってみる気になったのだ。 ご飯を解凍し、ボウルに入れて木べらでぐりぐり潰し、片栗粉を入れてさらに潰した。水で湿らせた短めの菜箸に作った生地をまとわせ、魚焼きグリルで丹念に焼く。半額だった鶏もも肉のひき肉で肉団子を作り、その汁でもも肉を煮た。 ゴボウやマイタケ、長ネギ
店屋物が食べたい。今、今すぐにだ。 あのマルシン出前機から、 「はい、お待ちどうさま!」 と、手渡される使い古された木のおぼん。その上に乗せらせた、うどんやそば、親子丼や天丼を受け取るときのあの喜びは、日常における最大の喜びである。 あの被せられたラップは業務用で、家庭用では考えられないほどの吸着力でもって汁が漏れるのを防いでいる。あの頼もしさ。まさに理想の上司像と重なると言っても過言ではない。 東京に住んでいた頃、近くに2件ほどのお蕎麦屋さんがあった。私は当
私は、ガッカリしていた。 先日ネットで30分チキンなるレシピを見つけ、何だか美味しそうなので作ってみることにしたのだ。しかし、教えの通り調理してみた結果、まるで木のように固く、食感がゴリゴリの胸肉ステーキが出来上がってしまった。 一口食べて、歯に跳ね返ってくる肉の抵抗感に、何とも言えない恐れを感じた。どんな食べ物でも、一度人の口に入れば、徐々に嚙み砕かれ、己の血肉になるような感覚があるものだ。しかし、その日食べた胸肉は、ただただ抵抗しかしてこなかった。 私は胸肉
ワンタンメンタンメンタンタンメン 正直、何事かと思う。 ただ、ラーメンの種類を句読点を打たずに並べただけなのだが、異世界の扉を開けたような不気味な言葉を書き連ねたように感じる。何かの呪文のようにも思えるし、楽しげなタップダンスのステップのようにも思えてくる。横一列に並べられた文字を見ていると、ゲシュタルト崩壊が起きそうだ。 もしや、ひらがなにしたら、そんな崩壊は免れるかもしれないと思い、 わんたんめんたんめんたんたんめん と書いてみたものの、何か、ラーメンだけで