メアリー・ポピンズ研究所: 華子です

メアリー・ポピンズが好きすぎて、ロンドンに来てしまった著述業。iU(情報経営イノベーシ…

メアリー・ポピンズ研究所: 華子です

メアリー・ポピンズが好きすぎて、ロンドンに来てしまった著述業。iU(情報経営イノベーション専門職大学)客員教授。 https://x.com/hanako_mary https://matka-cr.com/hanako-works

マガジン

最近の記事

残酷なマザーグース:あなたが生まれたのは何曜日?

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』第3章「 わるい水曜日」より ■ジェインは「水曜日生まれ」 物語に登場するバンクス家の子どもたちの内、「悪い子キャラ」は通常、第2子(長男)のマイケルです。 しかしこの日(水曜日)、「虫の居所」が悪かったのは第1子(長女)のジェイン。普段はおりこうさんのお姉さんです。 いつもはきょうだいの中で「1番年上」なことをジェインは気に入っているのに、この日は朝、眠かったんですね。「年上だから」という理由でメアリー・ポピンズに最初に起こされたとき

    • 「硫黄毒消し」とは?:双子を泣き止ませる魔法の薬?

      「帰ってきたメアリー・ポピンズ」第2章「ミス・アンドリューのヒバリ」の章に、ちょっとギョッとするセリフがでてきます。 ミス・アンドリューはバンクスさん(バンクス家の子どもたちの父)の子ども時代の子守役(ナニー)だった人物。バンクスさんは彼女のことを「すごもの」と呼び、なかなか強烈な人物だったことが伺えます。 挿絵も…威圧感アリアリの人物として描かれています。 このミス・アンドリューが急にバンクス家に泊まりに来ることになり、大荷物でやってきました。家の前で子供たちと出会い

      • Barley Water(麦水):ジェーンとマイケルは嫌いだった?

        バンクス家の子どもたち、ジェーンとマイケルは、バンクス家の料理番である「ケイティばあや」が嫌いです。バンクス家の新しい子守を雇うために、新聞広告を出そうと決めたバンクス夫妻。その様子を見ながら、ジェーンとマイケルは「どんな子守が来ても、ケイティばあやよりマシ」と思っています。 ケイティばあやが嫌いな理由の一つに「煎じぐすりの匂いがする」とあるのですが…原文では「Barley Water(麦水)の匂いがする」と書かれています。 日本にも「麦茶」がありますが、日本の麦茶は大麦

        • 「ちびくろ・さんぼ」がたどった道。

          インドに2週間弱行ってきました。旅の途中で「動物園にホワイトタイガーを見に行かないの?」と言われ、「虎→虎のバターのホットケーキ→ちびくろさんぼ」という順で、「ちびくろ・さんぼ」の事を思い出しました。 「ちびくろ・さんぼ」が元はインドが舞台、という話はどこかで聞いてしっていました。しかし日本でもっとも流通している挿絵では、サンボはどうみてもアフリカ系の少年です。 「ちびくろ・さんぼ」は差別的表現があるとして、1度日本で絶版となっています。紆余曲折の経緯がある作品としても有

        残酷なマザーグース:あなたが生まれたのは何曜日?

        マガジン

        • メアリー・ポピンズ研究
          5本
        • 英国文化を深堀する
          3本
        • メアリー・ポピンズ A to Z 豆知識
          2本
        • メアリー・ポピンズにでてくる「食べ物・飲み物」
          1本
        • 物語の中のおいしいもの
          1本

        記事

          #メアリー・ポピンズ シリーズの成功は メアリー・シェパード(写真↓1909~2000年)による挿絵の愛らしさも理由だと思う。 「くまのプーさん」の挿絵を描いたE.H.シェパードの娘。作者トラバースは挿絵を父シェパードに依頼したものの多忙だったため、娘に白羽の矢が。

          #メアリー・ポピンズ シリーズの成功は メアリー・シェパード(写真↓1909~2000年)による挿絵の愛らしさも理由だと思う。 「くまのプーさん」の挿絵を描いたE.H.シェパードの娘。作者トラバースは挿絵を父シェパードに依頼したものの多忙だったため、娘に白羽の矢が。

          「小さなお家に4人の使用人」の謎:階級社会考察①

          「風にのってきたメアリー・ポピンズ」は、「メアリー・ポピンズ」シリーズの第一作であり、`ロンドンに暮らすバンクス家にやってきたナニー(子守)のメアリーが主人公です。イギリスでは1934年に「Gerald Howe Ltd」で出版されました。 ロンドンを舞台にした物語で、作者のP.Lトラバースが1934年当時ロンドン在住だったことから、世界で最初にこの物語を出版した国はイギリスだと思いますが、同年にアメリカ版も出版されています(各国の正確な出版日が分かったら、またここに追記し

          「小さなお家に4人の使用人」の謎:階級社会考察①

          メアリー・ポピンズ研究所、はじめました。

          初めて「風にのってきたメアリー・ポピンズ」を読んだのは小学生のとき。以来「メアリー・ポピンズ」に首ったけ。ずっと「憧れの人」は「メアリー・ポピンズ」と答えている。 なにがそんなの魅力なのか? それはメアリー・ポピンズの凛々しさ、毅然とした佇まいが眩しくてかっこよかったから。 ずっとずっとメアリー・ポピンズみたいに生きてみたかった。 心配性で悲観主義者でいつも悩んでばかりいる子ども時代をすごし、その後大人になってからもまあそう変わりなくいつもキリキリくよくよ悩ましい日々

          メアリー・ポピンズ研究所、はじめました。

          児童文学に登場する「木苺」と「コケモモ」の正体

          この夏「バスでちょっと行った」ぐらいの場所にある森で、2度もブラックベリー摘みをした。 誰かの家の庭や、ほんとうに”そのへん(例:バス停の横の茂みとか)”に生えているのを見かけることはあったけれど、森の中にこ~んなにも自生しているものだと初めて知ったのです。 摘んでも摘んでも、大きくてしっかり熟れたブラックベリーがそこかしこに。本当に、夢中になって摘みました。 長くイギリスに住んでいるけれど、まだまだ知らないことは多いのだと痛感することしかり。 そして摘みながら「これ

          児童文学に登場する「木苺」と「コケモモ」の正体

          わたしのこと

          はじめまして。ロンドンに暮らしつつライター/エッセイストをしている宮田華子です。iU 情報経営イノベーション専門職大学の客員教授もしています。 もう20年近くロンドンに住んでいます。いろいろ痛い目にもあっていますが、それでも何とか、ヨロヨロとここに暮らし続けています。 イギリス暮らしはまあまあ大変です。一筋縄ではいかず、年中怒ったりイラついたりへこたれています。でも、それでも、ここに住み続けている理由もあるなあ…をひっぱり続けて今に至っています。 イギリスに来た時は学生