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ききょう after 12years
「あー、だりぃな授業」
「サボっちゃえば?」
クスクスと明るく笑いながら、夏菜子が首を傾ける。
茶色いウェーブの髪が日差しを反射してキラキラ光る。
眩しさと、誘うように色づいた唇に俺は目を細めた。
最近、何もかもがダルい。
長年だらだら付き合ってる彼女も。
実家の病院を継げと、進学の話を口うるさくしてくる親も。
何もかも忘れて自由になりたくて。
我慢できないほどイラつく時は、校舎の裏庭でぼ
グラジオラス 会社編
会社の受付に濃いピンク色をした鮮やかな花が活けられている。
普段から通勤時にはなんとなく見てしまう。
気品ある笑顔の受付嬢と、その横にどっしりと構えるきらびやかで大きな花器。
あの花はいつも誰が変えているんだろう。
関係ない部署の私にはてんで見当がつかないけど。
多分、花の名は
「……グラジオラス」
すんなり出てきたことに驚いた。
学生時代にアルバイトした花屋の記憶が蘇る。
しなやかな手で