尋常性乾癬は、食事で全身の炎症を抑えよう
◆桃が食べたい!
夏が近づくと、果物好きの私は、桃が食べたくなります。
桃の生産量ランキングを調べてみました。
1位 山梨県
2位 福島県
3位 長野県
4位 和歌山県
5位 山形県
私の出身県の岡山県は6位でした。
◆皮膚病は「桃の皮」の病気?
皮膚は表皮と真皮に分かれますが、
表皮は「桃の皮」ほどの薄さしかありません。
私の専門である皮膚科は、「桃の皮」に現れる病気を扱っています。
果たして、皮膚病は、表面だけの病気でしょうか。
「桃の皮」に影響を与えるのが「桃の実」です。
「桃の実」がみずみずしければ、「桃の皮」もみずみずしくなります。
「実」が痛んで変色していれば、「皮」も変色します。
食事、睡眠、運動は、体や内臓の健康を左右しますが、
その影響は当然、皮膚にも現れます。
皮膚と内臓は、お互いに影響を与え合います。
◆尋常性乾癬は全身の病気
「尋常性乾癬」という皮膚病があります。
全身の皮膚に大小さまざまな赤い発疹が沢山できる病気です。
以前は皮膚だけの病気と思われていましたが、
関節が痛くなったり、変形したりする人が見つかり、
「乾癬性関節炎」と名づけられました。
その後、「ぶどう膜炎」という目の病気の合併が見つかり、
「乾癬性ぶどう膜炎」と命名されました。
続いて、「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」などの腸の病気も合併しやすいことが分かりました。
極めつけは、尋常性乾癬は肥満の人が多く、
動脈硬化から心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいことが分かりました。
これらの病気をひっくるめて、「乾癬性疾患」と呼ばれています。
どのような仕組みで、これらの病気が引き起っているのでしょうか。
◆皮膚の炎症が全身に波及する
乾癬は皮膚に炎症が起きる病気です。
皮膚は「人体最大の臓器」と言われ、重さも面積もナンバーワンです。
皮膚に慢性炎症が起きれば、内臓に影響を与えないわけはありません。
皮膚の炎症が「関節」「心臓の血管」「腸」「目」の炎症を誘発します。
これらの「乾癬性疾患」には、どう対処すれば良いのでしょうか。
皮膚だけに目を向けていたのでは本質を見失うでしょう。
皮膚を含めた全身の炎症を抑えるのが得策です。
野菜、魚、豆、果物などの、炎症を抑える食事を摂りましょう。
参考文献
加治賢三:「写真で学ぶ皮膚疾患 第3回 尋常性乾癬」,調剤と情報 15(6): 628-630, 2009