アトピー性皮膚炎は汗が出なくなる病気
皮膚科医の塩原哲夫医師(杏林大学名誉教授)により、
アトピー性皮膚炎の新常識が打ち立てられています。
アトピー性皮膚炎は「皮膚が乾燥する病気」ですが、
乾燥の原因は「汗をかかないから」というのが塩原医師の大発見です。
◆2種類の汗
汗をかくことを発汗といいますが、
発汗に「基礎発汗」と「温熱発汗」の2種類があります。
基礎発汗・・・何もしてないときに出ている汗
温熱発汗・・・暑いと出る汗
どちらが大切なのでしょうか。
基礎発汗により皮膚の潤いは保たれています。
それに対して、温熱発汗は体温を調節する役割があります。
基礎発汗が皮膚の水分の主な供給源であり、
基礎発汗が減ると皮膚は乾燥します。
アトピー性皮膚炎では、まず基礎発汗が低下します。
5年経つと温熱発汗も低下して、体温調節がしずらくなります。
◆アトピー性皮膚炎では、汗が出るまで時間がかかる
アトピー性皮膚炎では、汗の量が減るだけではなく、
汗が出るまで時間がかかることが、実験により分かりました。
足浴によって、どれくらい汗が出るか、比較した実験があります。
アトピーでない人は、足浴5分後に汗が出始め、
時間とともにどんどん汗が出るようになります。
一方、アトピー性皮膚炎の人は、15分後まで汗は出ませんでした。
その後、汗は出たものの、アトピーでない人の6分の1の量でした。
アトピー性皮膚炎の人は、汗が出るまでに時間がかかり、
汗の量も極めて少ないことが分かりました。
◆乾燥肌には汗活
アトピー性皮膚炎の治療に、ぬり薬や保湿クリームは大切ですが、
それと並んで重要なのが「汗活」ではないでしょうか。
アトピー以外の乾燥肌や、加齢による皮膚のかゆみも同様でしょう。
一番手軽な「汗活」が「入浴」です。
湯船につかっても、15分以内に出てしまっては、もったいないです。
入浴はストレス解消の重要アイテムでもあります。
ゆっくり時間をかけたいものです。
参考資料
1)塩原哲夫:「汗をかかないとアレルギーになる」,アレルギー,67(7):923-926,2018
2)塩原哲夫:「発汗異常とアレルギー」,MB Derma.220:61-65,2014
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