男性更年期対策は人の集まりに飛びこむ
◆病気になる人とならない人の違い
男性更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの低下が大きな要因です。
テストステロン分泌は、早い人で30代から減ります。
個人差が大きく、70歳過ぎても、ほとんど減らない人もあります。
この「個人差」とは、なんでしょうか。
どんな病気もそうですが、「なる人」と「ならない人」があります。
糖尿病になる人が増えていますが、ならない人もあります。
その違いはなんでしょうか。
生活習慣病と言うくらいですから、
生活習慣が大きく関係していることに間違いはありません。
しかし、同じような不節制な生活を送っているのに、
病気にならない人もあります。
その違いは「体質」の違いと考えられています。
◆病気=体質×環境
病気は「体質」と「環境」によって起きると考えられています。
「体質」とは、持って生まれた遺伝による体質のことです。
「環境」とは、その人を取り巻く環境や生活習慣のことです。
「体質」は変えることができないから、
「環境」を変えて病気にならないようにしましょうと言われていました。
「体質は変えれない」が定説でしたが、
近年、その考えがぐらついてきました。
◆遺伝子は変えられる
最新の医学研究で、持って生まれた遺伝子も、
毎日の過ごし方次第で、働きを変えられることがわかってきました。
染色体の一部が「メチル化」や「アセチル化」など「修飾」されて、
遺伝子そのものは変わらないのに、働き方が変わるのです。
遺伝子の修飾は、主に食生活によって起こされますが、
心のありようも影響を与えると言われています。
たとえば、孤独感を持つ人は、免疫の遺伝子の働きが落ちるというデータがあります。
◆社会に出るとホルモンも出る
男性更年期障害の話に戻ります。
若くてもテストステロン値が低い人もあれば、高齢でも高い人もあります。
テストステロンは「社会性のホルモン」と言われます。
高齢者対象とした調査によると、テストステロン値が高い人は、自分でなんでもし、生活の質も高く、社会活動に参加していることがわかりました。
人の集まりに飛びこむと、遺伝子も変わるのかもしれません。
若くてテストステロン低い人は、「若年寄」のような人なのでしょう。
男性更年期障害にならないためには、社会の役割をかって出て、新しいことにチャレンジし、いろんなことに首を突っ込むことが大切なのではないでしょうか。
参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021
2)石井直明:『アンチエイジングの教科書』,東海教育研究所,2021