夜型の人は睡眠負債から生活習慣病になりやすい
午前中に調子がよい人(朝型)もいれば、
夜に頭がさえる人(夜型)もいます。
Morningness-Eveningness Questionnaire(MEQ)という質問紙によって、
一般成人1,170名を対象にした調査結果があります。
強い夜型 8.4%
夜型 22.7%
中間型 41.0%
朝型 22.0%
強い朝型 5.9%
夜型、特に「強い夜型」の人は、健康を害する可能性があります。
どんな仕組みによってでしょうか。
◆体内時計は1日が24時間10分
密室のような環境で、人間の体内時計の1日周期を測定したところ、
平均24時間10分であり、20~30分の個人差があることが明らかにされました。
実際の時刻と比べて1日10~30分のずれがあり、
このずれを調節するのが大変なのです。
双子の研究によると、朝型-夜型は、
環境よりも遺伝が大きいと言われています。
生まれつきの体質によって朝型・夜型が決まっており、
容易に変えることができないことが分かります。
夜型の人は、自分に適した時刻よりも早く起きなければなりません。
強い夜型の場合は、どれだけ大きな目覚まし時計でも目が覚めないため、
睡眠酩酊と呼ばれています。
酩酊とは酔っ払いのことです。
私の知人で目覚ましを7つ仕掛けているのに寝坊した人がいます。
7つの時計を止めているだけでも寝る間がないと思うのですが、
酩酊(よっぱらい)とは的確な表現です。
◆睡眠負債により、食べるのが止まらなくなる
夜型の人は、寝るのが遅くなり、睡眠負債を抱えやすくなります。
その負債を休日に朝寝をして返済しようとします。
週末に2日間、朝寝をすると、体内時計が30~45分ずれてしまい、
夜型に拍車がかかります。
睡眠負債により、食欲を抑えるホルモンであるレプチンが減り、
食欲増進ホルモンのグレリンが増えます。
「甘いものが食べたい」「沢山食べたい」「間食したい」と、
食欲が抑えられなくなります。
その結果、肥満になり、糖尿病になり、生活習慣病になってしまいます。
夜型の傾向の強い人は、注意が必要です。
参考文献
三島和夫:「社会的ジェットラグの概念と病態メカニズム」,日本医事新報 (4863): 26-33, 2017