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筋トレは、自然で安全なホルモン補充療法

◆加齢とともに減るホルモン

すべての人の願いは、アンチエイジング(歳を取りたくない)でしょう。
加齢とともにホルモンの分泌が減少し、脳、内臓(肝臓、腎臓、胃腸、血管)、体(筋肉、骨)の働きは低下してきます。

男性ホルモンを例にとってみましょう。
一般に男性の更年期障害と言われ、50歳を過ぎると気力や体力の低下、
眠れない、うつ症状などに悩まされる人があります。
男性ホルモンのテストステロンの減少が一因と言われています。

テストステロンは、男性の精巣で作られるホルモンであり、
その働きは男性機能をアップするだけではありません。
筋肉や骨の量を増やしたり、脳や免疫の働きをよくする作用もあります。

加齢とともにテストステロンの量が減ってくると、
心身共に元気がなくなってきます。

どう対策すればよいのでしょうか。

まず、テストステロンについて、学びましょう。

◆テストステロンができるまで

テストステロンは、主に精巣で作られますが、
「視床下部-脳下垂体-精巣軸」によって調節されています。
どういうことか、簡単に説明するとこうなります。

まず、脳の「視床下部」が「脳下垂体」に「テストステロンを作れ」と指示を出します。
「脳下垂体」とは、脳にぶら下がっているピーナッツほどの大きさの器官です。
指示を受けた脳下垂体は、精巣に「テストステロンを作れ」という命令を出します。
それを受けて精巣がテストステロンを作ります。

例えるならば、社長が部長に指示を出し、部長が社員に命令して社員が商品を作ります。
その商品によって顧客(筋肉、骨、脳)が喜ぶという仕組みです。

この仕組みには行き過ぎを抑制するシステム(負のフィードバック)があります。
テストステロンが過剰になると、それを察知した視床下部や脳下垂体が、「テストステロンを作らなくてもいいよ」という命令を出します。
これにより、テストステロンは適量に保たれています。

◆ホルモン補充療法の問題点

加齢とともにテストステロンの分泌が減り、
心身共に元気がなくなってきます。

解決策としてテストステロンを薬として取るホルモン補充療法があります。
症状がひどい人は、薬を使わなければなりませんが、
それほどひどくない人や、薬に頼りたくない人も多いでしょう。

テストステロンを薬として取ると、
テストステロン不足で困っていた体(筋肉、骨、脳)は喜びます。
しかし、それを続けるとどうなるでしょうか。

テストステロンは足りていると判断した視床下部と脳下垂体は、
「テストステロンを作らなくてもいい」と判断し、それを精巣に伝えます。

精巣はますますテストステロンを作らなくなってしまいます。

ホルモン補充療法を否定するわけではありませんが、
安易に薬に頼るのは良くないでしょう。

◆筋トレをしてテストステロンを作ろう

一番良いのは、自分でテストステロンを作ることです。
筋トレによってテストステロンが作られるというデータがあります。
これが一番自然で、副作用がありません。
筋トレは、自然で安全なホルモン補充療法と言えるのではないでしょうか。

筋トレの基本はスクワットです。
今日も10回×3セットをやりましょう。

参考文献
相澤勝治,筋肉でのテストステロン合成,アンチ・エイジング医学 12(3): 322-328, 2016.

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