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〔介護を学ぶ19〕つらい時こそ「チーズ」しよう 「キムチ」が返ってくる
◆やまびこの法則
早苗さん(73歳)は、脳卒中の夫(75歳)の介護をしています。
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介護はつらいことの連続かもしれません。
だからといって
「つらい」「しんどい」
「なんでこんなことしなきゃならないの」
「あなたが悪いんでしょ」
と不平・不満のグチを旦那さんにぶつけたら大変なことになります。
暴言が返ってくるかもしれません。
優しい言葉をかけると、優しい言葉が返ってくる。
売り言葉には買い言葉が返ってくる。
吐いた言葉と同じ種類の言葉が返ってくる。
これが「やまびこの法則」です。
「やまびこの法則」は、言葉だけではありません。
幸せになる秘訣は「和顔愛語」と言われます。
「和やかな笑顔」と「愛のこもった言葉」を振りまけば、
笑顔と「ありがとう」が返ってくるでしょう。
◆「アーン」すれば「アーン」する
こんな話を聞いたことがあります。
母親が幼児に食事を与えている絵が展示されており、
沢山の見物人が感心して見とれていました。
笑みをたたえた母親が、スプーンを幼児の口元に持っていき、
幼児は嬉しそうにお母さんを見つめながら口を開けている。
見事な表現だと見物人は絶賛し、そばにいた作者はご満悦でした。
そこに一人の女性が通りかかり、
「こんなのウソだわ」と言って去ってゆきました。
驚いた作者は、女性を追いかけて訳を問いました。
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「私は絵のことは分かりませんが、あの絵は実際とは異なります」
と、理由を続けました。
「私は子育て奮闘中ですが、あれでは子どもは口を開けません。
親がアーンと口を開けないと、子どもは口を開きません」
と説明しました。
さすがは「現場のプロ」と感心しました。
他人の行動を見て、“鏡”のような反応をすることを「ミラーニューロン」と言います。
親の「アーン」を見て、子どもも「アーン」するのです。
ここにも「やまびこの法則」が現れています。
呼べば呼ぶ 呼ばねば呼ばぬ やまびこぞ
まず笑顔せよ みな笑顔する
こちらが笑顔を振りまけば、必ず笑顔が返ってきます。
やまびこですから。
◆つらい時こそ「チーズ」しよう
介護にはつらいことがつきものでしょう。
つらい時に苦虫を噛みつぶしたような顔をすると、
しかめっ面が返ってきます。
つらい時こそ、「笑顔」してみてはいかがでしょうか。
無理やりでも「笑顔」をするのが大切です。
写真を撮る時、理由もなく「チーズ」と笑顔します。
日本では「チーズ」ですが、韓国では「キムチー」だそうです。
「お父さん、私、幸せだわ」と「チーズ」してみましょう。
きっと「キムチー」が返ってくるに違いありません。
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