〔介護を学ぶ4〕私たちが介護するしかない
◆介護になった父に対する怒り
父59歳、母57歳、惣子さん31歳
惣子さんのお父さんは、脳梗塞で右半身マヒの障害を残してしまいました。
惣子さんは、そんなお父さんに、やさしく接することができませんでした。
自分の不摂生で 病気になったのに
世話してくれる母に 感謝の言葉もない
父の身勝手な言動にどうしても納得がいかず、イライラしていました。
◆異臭で破れた日常
そんなある日のこと。
惣子さんは実家に帰って、ぐっすり眠っていたのですが・・・
ほのかに漂う異臭に、目が覚めたのでした。
「このニオイって・・・まさか・・・」
様子を見に行って、惣子さんが目にしたものは、
トイレの前で、お母さんが、お父さんの粗相した後を、
掃除している姿でした。
お父さんは寝室に戻って、姿は見えませんでした。
母「しっ 騒がないで。騒いだらお父さんが恥ずかしい思いをするから」
異臭に包まれ惣子さんは、非日常の現実を突きつけられました。
お父さん トイレに間に合わなかったんだ
こんなこと 今までになかった
いつものお父さんじゃない
本当に お父さん?
いつも、元気なお父さんだったのでしょう。
しかし、目の前のお父さんは、
「いつものお父さん」ではありませんでした。
そうか お父さんは 普通じゃなくなったんだ
病気なんだ 障害なんだ
だから 介護が必要なんだ
◆おとうさんは 私達が支えるしかない
「いつもでないお父さん」を目の当たりにし、
惣子さんは葛藤の末、どうなったのでしょうか。
年とった お父さん
病気になった お父さん
障害を持った お父さん
でも どんなになっても
お父さんは やっぱり 私のお父さん
ガンコだけど 自分勝手だけど
お父さんは お父さん
誰が介護するの?
私たちしか いないじゃない
お父さんは 私たち家族で支えるしかない!
日常が破れ、非日常が突きつけられましたが、
「介護」という新しい日常を受け入れ、
一歩足を踏み出した惣子さんでした。
参考文献
1)上田惣子:『マンガでわかる介護入門』,大和書房,2021