見出し画像

マイクロプラスチックと健康被害

◆マイクロプラスチックとは

1960年代よりプラスチック生産が急増しましたが、その半分はペットボトル、食品包装ラップ、お菓子のパッケージ、レジ袋などです。

これらのプラごみは、風に飛ばされ、川を流れて、最後に海に流入します。
海に漂っているあいだに、紫外線や波の力で劣化し、
小さい破片になります。
このうち、5mm以下のものをマイクロプラスチックといいます

海に漂うマイクロプラスチックの発生源は、
プラスチック製品の破片以外にいくつもあります。

◆マイクロプラスチックはどこから

「レジンペレット」と呼ばれる3mm程度のプラスチックの粒があり、
これを材料としてプラスチックが作られます。
レジンペレットは、加工段階や輸送の際に漏れて川に流れ、
海に流入します。

0.1mm程度のプラスチック製の磨き粉(マイクロビーズ)が、
「化粧品」「洗顔剤」に配合されており、これも海で見つかっています。

「食器洗い用のスポンジ」の多くは、ポリウレタンやメラミン樹脂製であり、削れてマイクロプラスチックになります。

「ポリエステルなどの衣服」を洗濯すると、糸くずのようなマイクロプラスチックが発生します。
1日1人10万本の糸くずのマイクロプラスチックを洗濯排水として出しています。

「合成洗剤」「柔軟剤」の多くには、香り成分を含んだマイクロカプセルが入っています。

野外で使われる「ブルーシート」も、紫外線で劣化してマイクロプラスチックになります。

「タイヤ」「人工芝」も、摩耗してマイクロプラスチックになります。

このように見てみると、日用品がマイクロプラスチックとなって海に流れていることがわかります。

◆人間の出したマイクロプラスチックが人間に還る

海に漂うマイクロプラスチックの一番の問題は、魚が食べることです
大きなプラスチックは大きな魚が、
小さなプラスチックは小さな魚が食べます。
その魚を別の魚が食べ、プラスチック汚染は海の生態系全体に広がっています。

東京湾の体長40cmのスズキの胃からは、5mmのプラスチックが、
体長12cmのカタクチイワシからは1mmのプラスチックが出てきました。
多摩川河口の貝やカニやハゼからは、
0.1mm以下のマイクロプラスチックが見つかりました。

そんな魚を食べている人間も、マイクロプラスチックに暴露されています。
人間が1日に食べるマイクロプラスチックは300個にのぼる
という推定もあります。

人間の出したマイクロプラスチックは、
まわりまわって人間に還ってくるのです。

◆60年の反省

乳がん、子宮内膜症、精子数の減少、腸の病気などの健康被害が、
プラスチックが誘因なのではとの報告があります。

今、この瞬間にも、プラスチックは劣化して、
マイクロプラスチックは増えており、
健康被害も増加することが予想されます。

1960年代、こんな便利で重宝なものはないと、陶器やガラス、木製製品、紙製品に取って代わって広がっていったプラスチック製品。
あれから60年経った今日、プラスチックは、人間にとって「使える代物」ではなかったことが知らされます

この60年の反省を素直に受け入れ、
人間は、プラスチックを廃してゆかなければならないと思います。

まずは身近なところから。
ペットボトルをやめようと思います。

1人1人が心がければ、プラスチック廃絶は夢ではありません。
レジ袋が有料(5円)になっただけで、
多くの人がマイ袋を持参するようになったではないですか。

1)高田秀重:「マイクロプラスチックと私たちの健康」,月刊保団連 1366:40-46, 2022

いいなと思ったら応援しよう!